テクノ経営総合研究所ロゴ

HOME > コンサルタントコラム > 間接業務改革のポイント(3)

間接業務改革のポイント(3)

3.なぜ、5Sから始めるのか?

 「まずは身近なことから始めて、改善活動に勢いをつけたい」。このような理由から、ほとんどの企業で5S活動が行われています。しかし、多くの企業が間違った5S活動を行っているようです。

(1) 間違った5S活動

 例えば、共用棚の共用ファイルが、個人の机の上に出しっ放しで放置されているという状態を思い浮かべてください。次に使おうとする人は、困るかもしれません。 よって、この職場では、対策として躾を徹底するとともに、チェックシートを作成し定期パトロールを実施することにしました。さて、この対策は正しいでしょうか?
間違いではありません。ただ、対策を考える前に“原因”を考えて欲しいのです。恐らく、共用棚が遠く、戻しに行くのが面倒だったのでしょう。また一度戻してしまうと、 再度扉を開け、ファイルを探さなければならないという手間が発生する、つまり原因は“面倒さ”だったのです。
従い、対策としてはこれらを排除するために、共用棚の 配置見直しや扉の撤去及びファイル背表紙表示等となります。
2つの対策はいずれも改善の方向に向かうと思われますが、後者が“楽になる”に対し、前者は負担が増すため、 忙しくなると元の悪い状態に戻ります。
5Sの目的が“ムダな動作を排除すること”と理解していれば、このようなことにはなりません。

(2) 起点はムダな動作

 「その5Sで何が良くなったのですか?」と尋ねると、「・・・見た目がすっきりした」と少し考えて答える従業員の方々。改めて聞かれると困ってしまう、 これは5Sそのものが目的化してしまった現象です。
5Sの目的は“ムダな動作を排除すること”です。製造現場だけでなく、オフィスでもムダな動作はたくさん発生しています。 振り向いたり、しゃがんだりと いった体の動き、移動や運搬などの足の動き、物探しや見比べによる目の動き、開閉や取り置きなどの手の動き。これらはほんの数秒ですが、 “考える”と いう重要な作業を中断させます。パソコン作業でも、フォルダを何度も開閉したり、アイコンを探したりといったムダな動作が多発しています。
このようにして ムダ排除を追及していくと、定期パトロールすることはおろか、整理、整頓、清掃という行為すらムダに思えてきます。そして、二度と 乱れないようにしようという発想に至れば、 発生源対策に繋がっていきます。
結果として、クリーン化はもちろんのこと、品質、納期、コストなどのあらゆる面が改善されていきます。また、ムダを排除することで、自身が 楽になる実感があるため定着が進むと同時に、更なる改善へのモチベーションが醸成されます。

(3) 問題解決の手順を習得する

 (1)項の例のように、身近な5Sですら“原因”をしっかり捉えた問題解決は難しいものです。これでは、5S活動から次のステップ移ろうとしても、 品質や納期などの難易度の高い 個別課題に取り組めるはずがありません。
ですから、5Sという簡単なテーマを“題材”にして、問題解決の手順をしっかり習得するのです。野球で言えば、素振りをしているようなイメージ でしょうか?
 そう考えると、多くの企業が取り組んでおられる「5Sタイム」や「清掃の時間」という、単なる整理・整頓・清掃を行うためだけの時間が、
少々的外れであることに気づくはずです。
どのようなムダな動作が発生しているのか? その原因は何か? 二度と発生させないようにするにはどうすべきか? を考えていくことこそ、5Sの真髄なのです。

(4) 5Sは企業を映し出す鏡

 「5Sの状態で、企業のレベルがわかる」と言われます。私も様々な企業を訪問しますが、5Sができていないのに、品質だけが突出して良い、 サービスだけが優れている、 という企業はありません。品質が良ければ、サービスも良い、もちろん5Sもできている、逆に納期管理が不十分な 企業は品質管理も不十分といった具合に、すべて横並びなのです。
真の5Sができている企業は、問題解決の手順がきちんと回っています。ですから、品質や納期といった、直面するあらゆる問題にきちんと対処 できているのです。
5Sは企業を映し出す鏡、間接部門においても、やはり真の5Sから始めて頂きたいと思います。
        

<< 前のコラムへ                                 次のコラムへ >>

<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  平井 康之

大手化学メーカーにおいて、モノづくりのノウハウとQC、IEを活用した品質管理や省力化手法を習得。また、設備部門マネージャーとして、新規ライン立上げや設備改善に尽力・貢献した。これらの経験を基に 現職に就き、一貫した実践指導スタイルで経営成果獲得に全力を注ぐ。全従業員を巻き込んでいくヒューマンコンサルティングは、クライアント企業より高い評価を得ている。

一覧