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海外工場の設備保全(1)

はじめに

 バブル崩壊以降、日本の企業はコスト削減の為に、安い人件費を求めて海外へ進出していきました。自動車会社を中心に多くのサプライヤー企業も進出し、 それに追従するように多くの日本企業が海外進出を進めてきました。特に昨今のように超円高が続くと日本でのモノづくりに見切りをつけ、「生産は海外、 技術開発は日本」という割り切った考え方をする企業も多くなってきています。
 そんな中で、海外工場を指導して感じることや違い等をご紹介していきたいと思います。

◆ 設備を使った工程の問題

 設備を中心とした工程は、日本同様に管理が出来ており、一部の改善をすれば日本と同等、もしくは工程によっては日本以上に生産性や品質が良い所もあります。
 しかし設備は、日本で使用していたものを移管している所が多く、その為、日本製が多いことから、修理に使用する部品の入手がスムーズに行かないことが多々あります。
部品が日本での調達となる為に思うように修理ができず、設備劣化が著しく進んでいる所も多くあります。特に精密な部品や部位の故障に対しては、その修理が出来る保全マンが 居ない為に、高額な修理費を払って日本から修理に来てもらう事もしばしばの様です。
 最近では、日本で使っていたお古の設備ではなく、いきなり最新鋭の設備を導入することも増えてきたせいか、さらに生産性が高く、高品質の製品が出来るようになって きています。しかし、現地の日本人スタッフと話をしていると、現地の作業者の中には設備の仕様が三~四世代ぐらい違っており、戸惑う事もしばしばあるとの事でした。 生産設備の場合、3年~5年周期で新技術が投入される事から、10年~20年違うと操作方法や制御系が大きく変わっている事が多く、一から勉強しなければならない事も 多々あるようです。
 ただ言える事は、設備を使った工程の場合、世代が変わればそれなりに、少人化できる仕様となっていることから、それほど多くの作業者が必要となるわけではなく、 どちらかといえば、日本に近いと思っていてかまいません。

◆ 最新鋭の設備の課題点

 但し、設備が最新鋭になることで発生する問題があります。それは設備保全です。設備が最新鋭になると、管理するポイントが旧来の設備よりも多くなります。 例えば、操作系の電子制御化なのですが、押し釦から、タッチパネル方式へ変更されるなどより複雑な設備に変わってきます。今まで、釦が壊れたら、その釦だけを 交換すればよかったものが、タッチパネル上の釦を押しても反応しなくなる。こうなると、故障したときには、タッチパネルそのモノを交換するなどの処置が 必要になりますが、制御系に使うタッチパネルは、10万円ほどしますので、予備品を持っていない。交換のソフトが無いなど復元には1週間掛かるということも あることを知っておかなければなりません。
 これらの課題を解決するためには、社内に設備保全組織を持つか、設備に強い技術者を育てていくしか方法はありません。設備保全を組織として運営する。 これは並大抵のことではありません。

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<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  藤井 秀文

自動車メーカーにおいて、標準化、設備技術、設備保全技術、生産技術、工場管理等を担当し、工場改善、設備改善、設備保全を通じて現場改善を実践してきた。これらの経験をもとに、コンサルタントに従事し、以降、作業効率化、リードタイム短縮、設備生産性向上、在庫削減など現場改善を通じて、企業改革を実践指導している。

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