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コンサルタントの視点で見た海外工場運営(2)

3.日本人駐在員の活性化

 前回、日本人駐在員の役割と海外工場経営に与える重要性について述べてきましたが、それでは彼らをどのように活性化 していくかについて少し話したいと思います。
 日本で様々な準備を行い、赴任前に出張ベースで現地に滞在し、色々と仕事を経験したとしても、いざ駐在員として 仕事をする段階では様々な障害がでて来ます。最初は現地スタッフとの仕事上でのやり取りが今までとは大きく 異なることに戸惑うことになるのではないでしょうか。現地語でのコミュニケーションの問題もあるし、国民性の違いは 欧米でもアジアでも感じることですし、平等といいながらも色々な意味での差別も存在します。自由平等の国アメリカでも 有形無形の差別が存在しているのも事実で、特に英語で流暢なコミュニケーションが取れない人に対しての差はあるし、 アジア系の国では日本人はどうしても相手を下位に見ることが多く、それぞれ目に見えない組織上には無い上下関係も存在します。 それに加えて日本ではあまり考えなかった宗教に関しても、理解していないゆえに問題が発生する場合があります。

3.1 あるべき姿の明確化

 これらの環境の中で、日本人駐在者の能力を最大限に発揮させ、当初の目的をキチンと達成しなければなりません。駐在員の 役割を理解して赴任してきても、今までと大きく異なる環境の中で仕事をしていると、当初の高揚感も次第に薄れていき、 帰任日を指折り数えている人達がいるのも事実かと思われます。
 一般的に海外赴任の場合には、赴任期間があらかじめ3年とか5年とか決まっている場合や、中には目的を達成するまでと いいながらも、ある程度の期間限定での赴任というケースが多いと思いますが、駐在者に有意義な仕事をしてもらうためには、 まず自分の赴任期間が終ったときのあるべき姿を書いてもらうことが大切です。会社はどのようになっているべきか、自分は どうなっているか、自部門や部下はどのように育っていなければならないかなどについて、自分が帰任するときにはどう あるべきかを、最初にまとめる必要があります。これは赴任者本人の中期計画というべきものにあたり、常にこのあるべき姿を 見つめながら業務をこなしていく事が大切だと思います。
 会社では事業計画や年次計画/目標を立てて、それを方針管理として下位に展開している場合が多いかと思いますが、 新年度スタート前もしくは半期・四半期スタート前に上位方針を元に自部門の方針を作成する際に、上位方針や前年度(前期)の 反省事項の他に、このあるべき姿(中期計画もしくは自部門の重点取り組み課題)をもとに部門方針を作成することにより、 常に最初の姿を振り返ることが出来ます。<関連する項目を線で結び、漏れや抜けが無いことを確認します>

3.2 目的目標の共有化(コミュニケーション)

 方針管理の目的は、上位方針を達成するための具体的活動項目を明確にすることですが、これを展開する過程の中で、上位職者とのコミュニケーションが 重要になってきます。上位職者からみると部下の活動内容が自分の方針をキチンと達成できるものか、また部下からは自部門の活動内容で良いのかどうかを チェックする必要があるし、更にこれらのコミュニケーションを通じて、日本人赴任者としての役割の再確認や、現在の問題点から個人的な悩み事に 関しても、腹を割った話をする必要があります。
ここで活動項目を考えたときにチェックすべき4つのポイントを話したいと思います。

 (1)その活動項目は、具体的で本当に実践できるか?
 (2)その活動項目を実施したら、期限までに目標が達成できそうか?
 (3)その活動項目は他にマイナスの影響を与えないか?
 (4)その活動項目は持続性があるか?

これらのチェックポイントを元にお互いにコミュニケーションをとっていく必要があります。

 なお、駐在員は外から見ると比較的まとまっているように思えますが、自分の駐在員としての経験やコンサルティング企業様の姿からは 必ずしもそうなっていない事も多く、本来は全員のベクトルを合わせて行動しなければいけないのに、仕事の忙しさやその他の理由により、 誰がどう考え動いているかが見えなくなっている場合もあります。この状況を打破するためにはコミュニケーションが有効であり、 そのツールとして方針管理が効果的です。駐在員も日本本社への対応に時間を割く前に、自分達のあるべき姿と現実を見直しながら、 宴会やゴルフなどの以外にも真剣に討議する場を設けることも必要では無いでしょうか。

次回は、駐在員が現地社員をいかに活用して目標を達成するのか、また彼らをどのように育成していくかについて述べたいと思います。

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<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  進藤 淳

大手メーカーにて、長年に渡り品質管理、品質保証の責任者を担当し、クレーム対応及び品質改善に成果をあげる。その後製造部長や海外子会社製造部長等を歴任し現場改善に従事、その後現職に至る。 アメリカ ダラス工場での品質問題対応経験もあり、現在は国内・海外と各企業の品質改善及び生産性改善を中心に指導している。製造現場活性化させながら、品質向上、生産性向上で飛躍的成果を上げる 指導スタイルはクライアントより高い評価を得ている。

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