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改善成功のヒント(1)

はじめに

 企業の究極の目的は、「企業そのものが存続し続けること:ゴーイング・コンサーン」です。企業は存続し続けるために利益を生み出し再投資し循環させています。 その利益を得るために ものづくり企業は、CS:顧客満足、Q:品質、D:納期・リードタイム、C:価格など、お客様から求められる要求に応えつつ、さまざまな企業活動、改善活動を展開しています。 今回、以下のようなテーマで3回にわたり現場改善を成功させるヒントを考えてまいります。

   第1回:「5S」
   第2回:「はかる」
   第3回:「続ける」


第1回 : ものづくりの基礎 ~5Sは現場を救う~

 ものづくりの現場で、「“5S”とは何ですか?」 と尋ねると、誰もが「『整理・整頓・清掃・清潔・躾』です」と答えられるほど「5S」はものづくり現場に深く浸透しています。
 コンサルティングの場面では、活動初期に「5S」を取り上げることが多くあります。なぜ今さら「5S」なのでしょうか。5Sを取り上げる意味は何でしょうか。 今回は改めて「5S」の目的と意味を振り返りながら、ものづくりにおける5Sの効能と実践するヒントを探っていきます。

5Sは何のため?

 いきなりですが、日本一クイズを一問・・・・・日本で一番高い建造物は何でしょうか?
そうです。「東京スカイツリー」です。地上からの高さは、旧国名「武蔵国」にちなんで634mであることはご存じの方も多いかと思います。そして、「東京スカイツリー」は世界一の記録を持っています。それは「『自立式電波塔』として世界一の高さ」という記録です。2011年11月17日にギネス世界記録に認定されました。
 さまざまな構造技術が、「高さ634m、重さ約36,000トン(鉄骨総重量)(*1)」を支えています。今回は見えない地下にある「基礎」に注目してみました。

「建物は、高くなるほど地震や強風時の揺れによって、基礎部分に大きな『引き抜き力』『押し込み力』がかかります。このタワーのように細長い場合には、特に大きな力がかかります。
そこで、基礎の杭を、節の付いた壁状のものにすることで摩擦抵抗を大きくして、これに抵抗しています。この節は、いわば『スパイクシューズの靴底』のようなものです。 また、この壁杭を連続させ、放射状に地中に張り巡らせることで、『木の根』のように地盤と一体化することを意図しています。(*1)」
(*1)東京スカイツリーHPより引用


 高い建造物を支えているのは地下50mにもおよぶナックルウォールと呼ばれる強固な基礎です。
 冒頭に申し上げましたように、CS・Q・D・Cなど、企業に求められる要求はますます高く・厳しくなっています。その要求に応えるものづくりを支える基礎こそ「5S」だと考えます。

5Sの効能

 今やものづくりにたずさわる誰もが「5S」とは何かを知っています。しかし、「知っていること」と「実行できている」こととは違います。
「5S=見た目のきれいさ」を求めることではありません。結果として見た目のきれいさは実現します。 あらためて5Sの意味を振り返ってみましょう。

「小事に忠なる者は大事にも忠なり、小事に不忠なるものは大事にも不忠なり」という言葉があります。
「5S」がきちんとできていないのに「ものづくり」はきちんとできません。

「5S」と「残心(ざんしん)」

 「残心」とは日本の武道や芸道において用いられる言葉で、そのことに心を残す=心が途切れないという意味があります。 意識すること、とくに技を終えた瞬間、力を緩めてしまうのではなく、くつろいでいながらも注意を払っている状態を示します。 また技と同時に終わって忘れてしまうのではなく、余韻を残すといった日本の美学や禅と関連する概念です。
 剣道の試合で一本取った事を喜び、型を持続せずガッツポーズなどすると残心が無いとみなされ、「一本」を取り消される事があります。
まさに、ふすま・障子(扉)の開け閉めの所作、作業の一連の動作の後、作業終了時こそ「残心」が必要なのです。徒弟制度で後片付けを怠ると、「残心がない」といって躾(しつけ)として用いられた言葉です。
片づけるではなく「仕舞い」、きちんと行うこと、躾とは美しい所作を身に着けるとの意。5Sを、あらためてものづくりの基礎として見直し、実践してまいりましょう。

以上

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<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  長岡 道雄

大手家電メーカーにおいて、製造部門では生産ライン管理・新機種導入立ち上げ、生産技術部門では、新規生産システムの導入を担当。 IE部門では社内コンサルタントとして事業所内外の現場改善を担当。その後、生産管理・経営管理部門を経て、カスタマーサービス部門でコンタクトセンター責任者として従事し、顧客満足の向上と顧客の声を商品作りに活かすしくみづくりを構築。現在に至る。

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