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改善成功のヒント(2)

第2回 : 「はかる」

 「トップと6打差2位でスタートした最終日、まずは1番370yd(ヤード)/パー4・・・・残り50ydのセカンドショットを3m(メートル)につけるバーディーチャンス・・・・」、 「このラッキーなバーディーで波に乗ったのか・・・」、2010年、中日クラウンズ(18ホール/6,545yd/パー70)最終日12バーディーをとり58ストロークという 驚異の世界記録で優勝を勝ち取った石川遼選手のプレー中継からの抜粋です。
 さまざまな「単位=指標」を使って試合の展開を伝えてくれます。ydとmが共存しているのは不思議です。
 ゴルフに限らず、私たちの日常にはさまざまな「はかる」ことや、はかる「単位」があります。
 今回は、ものづくりの世界における『はかる』を考えてまいります。日本語のさまざまな『はかる』の表記や用例からマネジメントのポイントが見えてきます。
 それでは早速、辞書をひもときながら『はかる』を探ってまいりましょう。

 ものづくりの『はかる』を考える

「はかる」と読む常用漢字、おもな用例と関連する漢字

 『はかる』ことが教えてくれるマネジメントのポイント

「はかる」の向こうにマネジメントサイクルが見えてきました。

(1) Plan=「図る」=目標達成のための手立て、企てを「はかる」
 ゴールと到達時期、達成のための手段(組織化、実行計画など)を決める

(2) Do=計画に沿って実行・・・実行しながら→Checkに移るのですが、私のコンサルティングではPDCAサイクルよりもPDSAサイクルを推奨しております。チェックよりもやや深い意味合いを持たせています。

(3) Study & Analyze(研究と分析)、Measure & Analyze(測定と分析)と読み替えても良いでしょう。
「はかる」と「くらべる」です。「はかる(計る、量る、測る)」対象は、アウトプット(出来高)と同時にインプット(投入)もはかると良いでしょう。「アウトプット÷インプット=生産性(効率)」です。 このとき当初「図」った計画との差異を「はか」ります。そして、PDSAでは直ちにPlanの見直しに移ります。

(4) 再び(1)へ戻りRe.Plan=計画修正=2度目の「図る」。
差異分析から当初の目標達成のために修正実行計画を「図」り、そして(2)Do(実行)、(3)S&Aと3拍子で繰り返し回していきます。

そういえば、ゴルフも、1ホールごと1打ごとPDSAを回していませんか。

 『はかる』単位

 さて、冒頭のゴルフの話題に戻り、ものづくりにおける「はかる」単位=指標について考えてみます。
 ゴルフではストローク(打)の他に、距離を表すのにグリーンまでは「yd(ヤード)」、グリーン上は「m(メートル)」と 2つの単位が使われています。(1yd=0.9144m)
 現在、ほとんどの工場では国際単位系(SI)が共通の単位として使われています。長さはm(メートル)、質量はkg(キログラム)、 時間はs(秒)を基本とした単位(指標)です。
 航空関係では、距離はnm(海里)、速度はkn(ノット=海里/h)、高度はft(フィート)、重さはlb(ポンド)、燃料は、 ガソリン系は容積の単位gal(ガロン)、ジェット燃料は重さの単位lb(ポンド)などヤードポンド法を基本とした単位が 使われています。海里やノットは15世紀の大航海時代から使われている単位です。

 1nm = 1.852km(地球の経線の1分 = 1/60度の長さ)
 1kn = 1nm/h = 1.852km/h
 1ft = 0.3048m、11b = 0.45359237kg
 1gal(USガロン)= 3.785411784L(リットル)

 日本の計量法(平成4年5月20日)はSIを基本単位とすると制定されています。 例外として当面の間、航空機の運航に関してヤードポンド法を使用することが認められています。
 工場マネジメントにおける指標は、経営的には「\(円): 利益 = 売上 - 費用」ですが、生産現場では、 換算したり計算したりすることなく「測った」そのままの単位、使い慣れた直観的で理解しやすい単位を使うのが良いでしょう。 そして、それらを「見える化」することがポイントです。

 『はかる』を「見える化」しよう

 一日の生産進捗管理の例をご紹介します。
生産進捗管理板は、午後の開始13:00時点で、Bラインの遅れが大きいことを示しています。

 次に『はかる』を「見える化」した例(モデル)をご紹介します。

「図る」= 今日の計画予定ラインをあらかじめ引いておきます。
「測る」= 1時間ごとに完成数をグラフにプロットし折れ線グラフで表します。
「はかる」= 分析シミュレーション:午前中のペースで午後の予測ラインを点線で入れてみました。

Aラインが午前のペースのままだと17:00時点で△40台(約1.5Hの遅れ)
Bラインは午前のペース維持で  17:00時点で△20台(約0.5Hの遅れ)であることが読み取れます。
記入の手間はかかりますが、「はかる」の見える化で過去・現在・未来が見えてきます。
グラフをプロットする際、気になる「出来事」を併記しておくと、分析や要因解析に役立ちます。
着手から完了まで期間が長いものは、ガントチャートや作業工程表の消し込み/塗りつぶしなどで見える化します。

今回は「はかる」ことがマネジメントの基本であり、改善成功のヒントであることをお伝えしてきました。
今回のコラムが私の図ったとおりに改善のヒントになれば幸いです。

第3回は「続ける」ヒントを考えます。

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<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  長岡 道雄

大手家電メーカーにおいて、製造部門では生産ライン管理・新機種導入立ち上げ、生産技術部門では、新規生産システムの導入を担当。 IE部門では社内コンサルタントとして事業所内外の現場改善を担当。その後、生産管理・経営管理部門を経て、カスタマーサービス部門でコンタクトセンター責任者として従事し、顧客満足の向上と顧客の声を商品作りに活かすしくみづくりを構築。現在に至る。

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