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改善成功のヒント(3)

第3回 : 「続ける」

 「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところに行くただひとつの道」
 2004年10月1日「シーズン258安打」というメジャー記録を84年ぶりに書き換えた後の記者会見で、シアトル・マリナーズ(当時)のイチロー(鈴木一郎)選手が語ったコメントです。
 「継続は力なり」をあらためて思い知らされる言葉です。
 イチロー選手の、たとえばバッターボックスに入ったときのルーティンと呼ばれる一連の動きをはじめ、数々の「小さなことの積み重ね」は、出版物やテレビのドキュメンタリー番組などでも紹介され御存じの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
 第3回は「続ける」秘訣、継続のヒントについて考えてまいります。
 当シリーズのテーマである『改善活動』は、表面的にはムダ取りや事故・災害の撲滅、不良の低減などですが、それは結果であり、改善の本質は企業の「体質を変える」ことです。からだの体質改善がそうであるように、企業体質改善の即効薬・万能薬はありません。必要なのは「続ける」ことです。

 続かない理由

 続ける秘訣を探るまえに、続けられない理由を考えてみましょう。
 ダイエット、トレーニング、資格取得、英会話、禁煙、日記、整理整頓・・・挑戦して挫折した経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。
 続けようとしているのは、良い結果につながるそのことを「行う(増やす)」か、悪い結果につながるそのことを「やめる(減らす)」かのいずれかです。
 それらが続かない理由を分析してみると

(1) それを「行う(増やす)」、「やめる(減らす)」ことが、始める前に比べると「非日常」「特別」なことであり、取り掛かる手続きが面倒、取り掛かるキッカケを見逃す、しない言い訳をしやすい。

(2) それを「行う(増やす)」、「やめる(減らす)」ことを妨げる誘惑が多く、誘惑は強烈で『楽』であり『魅力的』に感じその結果は『甘美』である。そのため逆に本来行う・やめるべきことが『つらく、大変』なことと感じてしまう。

(3) それを続けても「結果がすぐに出ない」。

などがあげられるのではないでしょうか。

 続けるヒント- その1:環境を整える

 続かない理由(1)は、すぐに取り掛かる環境ができていない、取り掛かる手続きが面倒、つまり開始へのハードルが高いことが実行を妨げる要因となっています。
 続かない理由(2)は、逆に誘惑を妨げるハードルがない、もしくは低い状態のままであることが、簡単に誘惑に負ける要因です。
 これらのことから、それを「続ける(増やす)」ためには、簡単に取り掛かれるための環境づくりが必要と言えます。
 トレーニングであればウェアをハンガーにかけて用意しておく、勉強であればテキストを持ち歩く、手の届くところに置いておくなど、そのことを行うキッカケとなる条件を整えておくことです。
 「やめる(減らす)」ためには誘惑のハードルを高くする環境づくりが必要です。禁煙なら、タバコ・ライター・灰皿を撤去する・持ち歩かない、タバコ嫌いな人と過ごすなど、誘惑のキッカケとなる条件を取り除くことです。

 続けるヒント- その2:目的・動機づけ

 続かない理由(3)すぐに結果が出ないこと、は多くの場合に当てはまります。
 それを行おうとしていることの目的・目標を書いて貼り出しておくことが動機づけにつながります。
またそれを行うことに対するメリット=ご褒美を用意する、たとえば勉強したら好きなドリンクを飲める、家族から褒めてもらえる、自分自身で出来たことを確認することなどが続ける動機づけ強化につながります。

 続けるヒント- その3:続ける仕掛けづくり

*宣言する、公言する、仲間を作る
ひっそり「隠れて実行」も良いですが、宣言・公言することで仲間が実行状況をチェックしてくれます。実践する仲間を作ることで良い競争が始まり、挫折しにくくなります。

*続けていることを示す
パン屋さんのポイントシール、工場の無災害緑十字、カレンダーへの印付け、古くはラジオ体操のスタンプカードに代表されるように続けていることを見える化することです。 続けられていることが実感でき、続ける動機付けにつながります。

*「はかる」ことと「見える化」
 第2回でご紹介しました「はかる」ことが継続には不可欠です。
「はか(計・測・量)った」結果を「はか(図)った」プロセス/ゴールと比較できるよう「見える化」することが続けるためには必要です。 すぐに記入できるようそれを行う場所の近くや、みんなが見る「掲示板」などを活用します。 「はかった」結果のフィードバックを早くタイミング良く行うことは言うまでもありません。

*中間ゴールを設定する
フルマラソン42.195km、スタート時点でゴールは程遠く感じるかもしれません。5kmごとにチェックポイントでラップを計り、 次の5km、また次の5kmと刻んでいくことでゴールに到達できます。改善活動も最終ゴール、たとえば「1年後に生産性30%向上」は実現不可能に感じても、 「1か月で2%強」と言えば手が届きそうに感じませんか。

*褒める
それが続いていること、続けることで目標に近づいていることを、親、先生、上司が褒める(認める)ことはそれを続けさせる動機づけにつながります。

 まとめ

 改善成功の秘訣は、環境整備=5SとPDSA(PDCA)を回すという当たり前のことを続けることにつきます。
 習慣付くまで、「小さなこと」を“意識して行動する”こと、“行動を意識する”こと、この繰り返しです。
 気が付いたら「とんでもないところ」に行きついているかも知れません。

 最後に、ものづくり現場が元気になる秘訣を・・・それは「お客様の声」それも「感謝」の声を届けることです。
「感謝」の声は何よりの励みになります。「苦情がなかった」ことも立派な情報です。実現できていない企業様はお客様の声をものづくり現場にもれなく届けるルート構築をご検討ください。

シリーズご愛読ありがとうございました。

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<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  長岡 道雄

大手家電メーカーにおいて、製造部門では生産ライン管理・新機種導入立ち上げ、生産技術部門では、新規生産システムの導入を担当。 IE部門では社内コンサルタントとして事業所内外の現場改善を担当。その後、生産管理・経営管理部門を経て、カスタマーサービス部門でコンタクトセンター責任者として従事し、顧客満足の向上と顧客の声を商品作りに活かすしくみづくりを構築。現在に至る。

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