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失敗しない改善・改革の進め方(4)

1.はじめに

 今回は、どうすれば物事を他責では無く自責で考えられるようになるのかを、前回お話しした事例を分析しながらご紹介します。
  まず初めにお話ししたい事は、改善・改革と欲求の関係です。人は様々な場面において欲求を持っています。その欲求を改善・改革活動に向けることで、継続的に成果を出し続ける活動に近づく事ができます。
  昨今、ゆとり世代などと言われる若者には、欲すらないと悩まれていると伺います。しかし、彼らに困っていることや改善したいことは無いか?と質問すると、意見が出てくるというのは、欲求があることを意味し、非常に喜ばしいことです。 但し、その欲求の内容が他人へのお願い事など、問題解決の責任をつい他人のせいにしてしまうケースがよくあります。
一旦、自責(自分の責任)と考えずに他責と考えてしまうと、問題を問題として認識するための深掘りがなされず、問題発生の 原因追求や問題解決された時の効果把握が不足するために、問題解決が実施されても期待した効果が現れない場合が多々あります。問題解決に対する欲求をいかに正しい方向に向けるか。それが上手く方向付けできれば、期待される効果が見え、改善・改革活動における満足感や達成感を得られ、成功体験を得ることができるのです。
 今回のコラムでは成功体験を得て、継続・発展する改善・改革の進め方についてもお話しします。


2.継続的な活動を推進するために

前回のコラムで挙げたB社のケースでは、

 (ア) 改善の主体(リーダー)と改善効果の受け手(現場作業者)が異なること
 (イ) つまり活動にメンバー(現場作業者)を巻き込めていないこと
 (ウ) そのため改善効果の受け手自身が問題の深掘りができていない

という事をお話ししました。その活動の視点を、リーダー及びメンバーにおいた場合の全体効果を2つのパターンで示しました。それは以下のようなものです。

【B社のケースⅠ】 リーダー自身が1人でレイアウト変更したケース
 (1) 他責で始まる(現場作業者にとって自分の責任ではないと思う・自分が知らないところで改善がなされる)
 (2) 要望や依頼を行う(受け身になる)
 (3) 改善を実施しても不都合な点もある(完璧になされないこともある)
 (4) 良いところもあるが、不都合なことがすごく気になる
 (5) 完璧になされていなことが不満になる
 (6) 他人が実施したことに対して批判する
 (7) 他人が悪いと他責で終わる

【B社のケースⅡ】 メンバーに考えさせてレイアウトを変更させたケース
 (1) 問題の深掘りを自らが行う
 (2) 完璧ではないが自分達でできることもあることに気付く
 (3) 不都合な点もある
 (4) 自分達で実施したことだから不都合なこともまずは受け入れようと理解・納得する
 (5) なんとか不都合なことも更に改良しようとする
 (6) 自分が考えやりきったことに満足する(成功体験)

3.成功体験を積むために

 上記のケースⅡで得た成功体験が、継続的な活動推進に欠かせません。上記の内容も自ら考え行動を起こすからこそ、成功体験が得られるのです。
成功体験を得るために必要なプロセスは下記の通りです。

 (1) 問題を深掘りし、分解・層別し本当の問題は何かを認識する
 (2) その中で、自分達で対応できることと他の人・組織に協力を仰ぐものに峻別する

 (3) それぞれの問題解決に対して組織的な支援を行い、解決に向けて促す
 (4) 各問題・課題に対して評価を行い、成果を実感する

4.継続・発展する活動を推進するために

 最前線で活躍するメンバーの思いを汲み取り、その思い・欲求を満たす。しかし、その思いや欲求は往々にして、偏っていたり、漠然としている事が多く、またオープンにされず内に秘めていることもよくあります。それをいかに開放し、 網羅的に、そして具体的・定量的に表現していくか、そのためには活動を組織的に支援することが必要です。
  上記内容を実践するためには活動を牽引していく推進者の役割が重要で、またその推進者は様々なスキルが求められます。 その点に関して、各企業様では作業や業務を実際に遂行するための知識や技能などの教育・訓練はなされています。しかし、管理者の教育・訓練になるとたいていの場合、管理職研修レベルにとどまり、実践的な教育・訓練の場がなく、 各管理者の属人的能力に委ねられているのが現状のようです。自社における管理者のあるべき姿、スキル評価などの明確化、現状との差異を埋めるための教育・訓練の体系的な実施が重要です。
  そしてもう一点大切なことは、私自身クライアント企業先ではお客様の目線に合わせ、上記内容を促すように心がけたり、工夫したりしていますが、自分自身が管理者の立場で自社の部下やメンバーと向かいあったとき、 同じような事が実践できているかと振り返ってみます。すると、部下の目線で考えず、自分の目線、枠組みで考え行動していたり、冷静さを失っている自分にふと気づかされることがあります。
「灯台下暗し」といいますが、身近な問題は意外に気づかないものです。管理者としてのスキルに加え、私どものような第三者的なアドバイスや支援の有効性を示す一面なのかもしれません。

5.最後に

 昨今は企業における外部環境、内部環境ともにさまざまな面で多様化する中、それらを否定したり、目をそらしたりするのではなく、受容し適応していくことが求められています。 そういった点でマネジメントも高度化しております。これまでのように属人的な能力に頼るのではなく、企業としての組織的支援を行っていくことが必要です。 そういった支援のあり方の参考に今回のコラムを活用いただければ幸いです。

<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  内山 三朗

大手産業機械メーカーにて生産技術、生産管理、そして外部コンサルティングの事務局として社内の改善・改革活動を推進してきました。その経験を活かしコンサルタントに転進、製造現場といった直接部門から間接スタッフ部門に向けたコンサルティングを実践中。

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