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全数目視検査の問題解決 (後編)

 はじめに

 前回は2つの検査方法を比較して、作業負担が少ない周辺視目視検査の特色についてお話しました。すでにお話したように長時間にわたる目視検査は作業者に相当の負担を与えます。
 今回は周辺視目視検査を効果的に活用するポイントをお話いたします。


4.周辺視目視検査を習得し活用する

1)まず、今までの常識を捨てることから始めます
 一般的な外観目視検査は「集中力」、「不良探し」であり、とにかくよく見ることが求められます。
  実は、これこそが見逃しが無くならない大きな要因です。前述のように「集中力」が短時間しか持たない
 からです。
  「従来の検査の常識」を捨てることから始めます。
  「集中力」,「不良探し」(見逃しの大きな要因)の手法や考え方を捨てましょう。
  ⇒「良品の確認」と「リズム」が周辺視目視検査法の基本となります。

 自分の違和感に自信をもって瞬間(無意識)に判断をする技能は自動車の運転技能と同様の技能と
 考えるべきです。

 残念ながら全ての皆さんが自動車の運転(周辺視目視検査)ができる訳ではありません。
     
 これらのドライバー(検査員)の運転(目視検査)にはそれなりの注意が必要です。

2)周辺視目視検査が出来ている状態とは
 中心視の状態で検査スピードを速くすると手のスピードと同期して眼や顔、体が動きます。
 また、焦りからハンドリングミスも多くなります。
 こんな状態では決して検査スピードは早くなりません。
 検査スピードを速くしても、眼や顔、体がリラックスした状態で手だけが動く状態が周辺視目視検査が
 出来ている状態と判断します。
 

<周辺視目視検査が出来ていない状態>       <周辺視目視検査が出来ている状態>
 

周辺視目視検査のポイント
(1) 自分の「違和感」に自信をもって検査
  良品限度見本をイメージとして定着させることができれば不良品はイメージのちょっと
  変化したものと瞬時に(違和感として)感じとることができます。
(2) リズムがもっとも重要
  ぱっぱっと見た瞬間にイメージとしての処理は完了します。そのため次々と新たなイメージを
  取り込むことが必要です。
  継続的に瞬時に視点を移動させたり、ワークを動かすにはリズムが必要です。
(3) 作業姿勢も重要 (ベテランほど姿勢が良い)
  体が固定されずにリズミカルに動けば,血液循環が良くなり,長時間の作業が可能です。
  背筋が伸びて,首の前傾が小さければ,首,肩,腰の負担が小さくなります。
(4) 照度は1000~1200Lux以下を目安に
  桿体細胞の高感度機能は明る過ぎるところでは働きません。
  中心視では錐体細胞が働くため明るくし過ぎる傾向が見られます。
  長時間の作業では検出感度が著しく減少します。

5.周辺視目視検査の導入

 目的や効果を理解し計画的に導入します。導入を急ぐと失敗することがあります。
 検査員の違和感に対する自信が重要であるため、時間をかけて導入を進めるべきです。

1)周辺視目視検査を理解します
 

2)指導員「周辺視マイスター」を育成します
 ・職場リーダーが自ら体感し理解する…数回のテストで手法の概要や効果を自ら体感します
 ・最も優秀な検査員が体感し会得する…検査スピードや精度が最も優秀な検査員が理解します
   実践を通して「より早く」「より楽に」のコツを会得します ⇒ 指導員となります

3)計画的に周辺視検査を導入します
 ・導入対象者の育成計画を作成する…職場リーダーが検査メンバーへの育成計画を作成します
 ・対象商品を決定する …周辺視検査の実践条件に合った対象商品を決めます
   周辺視検査実践条件:片手で持てる大きさ・重さで自在にハンドリングできる商品であること
 ・計画的に導入を行い結果を評価する…検査員のレベルに合わせ丁寧に指導し結果を評価します

ポイントは自信を持てるだけの時間と量のトレーニングを実践することです。

6.最後に

 これまで述べてきました通り、全数目視検査作業は非常に過酷な作業です。一方、求められる品質レベルは厳しくなるばかりです。 可能な限り人に優しく、検査精度を高める手法の一つとして周辺視目視検査を習得、導入頂ければと思います。
 周辺視目視検査は全ての商品に適用できるわけでは有りませんし、全ての作業者が習得できるものでもありません。 前述の中にあります条件に合った商品で、かつ違和感検査を体得できる検査員の育成が前提となりますが非常に効果が期待できる手法として推奨させて頂きます。
全数目視検査作業でお困りの企業様のご参考となれば幸いです。

以上

<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  角田 弘

大手電気メーカーにて、生産管理をはじめ、品質管理、原価低減の責任者として、生産性向上、合理化、品質安定化、コストダウン、製販管理システムの改革などを歴任し経営体質の強化に貢献してきました。 その後、現職に従事し、改善効果を経営成果に結びつけるコンサルティングを幅広く展開しております。

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