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ヒューマンエラー防止

 はじめに

 人間にはミスがつきものです。もの造りの世界でいかに自動化が進んでいても全く人が関与しない製造ラインは少ないはずです。 皆さんはミスをした人の責任ばかりを追及しがちではないでしょうか。果して本人だけの問題でしょうか。
 ここでは、ヒューマンエラーを防ぐための着眼点について具体的にお話ししたいと思います。


1.ヒューマンエラーとは

 ヒューマンエラー(Human Error)とは、読んで字のごとく『人間の過ち(人為ミス)』を意味し、我々の取った行動や行為により起きる『過ち』の全てを言います。 作業の過程で我々は良くミス(失敗)やエラー(過ち)をします。これが、見落としや仕損じ、不安全行動の起因になっています。
 我々は作業を行うとき、色々な心身機能を使って作業を行います。ヒューマンエラーは単に個人の不注意であると済まされない要因から発生していると考えねばなりません。
 以下に要因別に分類してみます。

ヒューマンエラーの要因

 このように要因は1つではなく数多くあり、かつ要因が重なり合って発生するものです。

2.ヒューマンエラーと様々な要因

 ヒューマンエラーの要因を、作業者自身の内的なものとそれ以外の外的なものに分けて考えたものを下図に示します。

ヒューマンエラーの要因

外的要因とは、作業者に影響を及ぼし、ヒューマンエラーの原因となるものです。
その影響について更に詳しく見ると2つに分けられます。

1)外的要因が刺激となり、作業が正常にできなくなる
 ・夏場の高温での長時間労働に耐えられなくなり、「つい手抜き」をする
 ・機械の騒音や振動が激しく、イライラして「落ち着いた作業ができない」

2) 外的条件が悪く、作業に適応できなくなる
 ・設備機械の「トラブルが多く、対応ができない」ため、精神的に負担がかかる
 ・作業手順書通りすると「無理な作業が発生し、手順書に馴染めない」

 このように外からの刺激に耐えられない、仕事を進める上で適応すべき条件に従えない、又は抵抗を感じた時に、作業者はヒューマンエラーの要因をつくり出します。

  次に、外的要因をハード面、ソフト面に分けて考えると以下のようになります。

1)ハード面
  ・作業環境
    作業環境に問題がある、整理整頓ができていない、レイアウトがわるい
  ・設備機械
    自動化が進んでいるが、取り残されたマニュアル作業が多い
  ・治工具類
    使いにくい、使い易さに大きな個人差がある
  ・作業条件
    やりにくい、無理な姿勢の崩れや作業など

2)ソフト面
 ソフト面は精神的に作業者の心を必要以上に刺激し、不安感や不満感を抱かせたり、馴染めない事を意味します。
  ・管理条件 
    就業規則、技術標準、品質管理基準などに馴染めない
    社内の諸活動に参加しにくい
  ・管理、監督者 
    上司の監督、指導についていけない
    職場の雰囲気に溶け込めない
   ・生活環境 
    家庭環境や地域社会の問題を職場内の作業に持ち込む

 我々の作業には、これらの外的なものが大きく影響しますが、一方で作業者自身の内的なものも強く影響します。それは、作業者自身の持つ保有能力(知識、技能をベースとした経験)、性格、体格、体質、体力、健康度などが挙げられます。
 例えば、視力が弱い、よく見えない(視覚機能低下)、体調が悪く、作業の急所に対して注意力が集中できない(疾病による緊張感の減退)などがあります。

3.ヒューマンエラーを防ぐには

 ヒューマンエラーは前述した外的要因に内的要因が複雑に絡み合って起きています。
 以上のようにヒューマンエラー防止には、それぞれの発生要因を理解し、要因に応じた対策の必要性がご理解いただけたと思います。
 環境と人間は密接な関係にあります。ハインリッヒの法則によれば、一つの重大な労働災害の背景には29件の軽微な事故発生があり、さらにその背後に300件のヒヤリハットが見られるといいます。 日常的に起こりえるトラブルの危険性を放置することは大きなリスクであることがわかります。
 一般的にシンプルなルールが整備された職場ではヒューマンエラーが少なく、判断基準が不明確でムリやムダの多い職場環境では逆の結果になると言われています。 ヒューマンエラー防止には現場の改善活動が不可欠であるといえるでしょう。ぜひ、改善活動の一環としてヒューマンエラーに着目することで、安全性と作業効率向上の両立を目指されることをお勧めいたします。

以上

<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  伴 浩和

鉄鋼メーカーにおいて、品質管理、品質保証、製造ライン管理を担当。試験・分析技術改善、製造プロセス改善、安全・品質向上、能率・作業率・歩留向上、ライン自動化設備導入立ち上げ、工場建設プロジェクトを担当するなど、幅広い分野で貢献。その経験を基にコンサルタントに従事し、現在に至る。

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