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トップが動かなければ間接部門は変わらない (前編)

 はじめに

 どこの会社でも不思議な慣習があり、誰も変えようとしないまま生き続けています。
 特に間接部門の仕事は、ムダやムリがたくさんあると感じながら、その改善がほとんど進んでおりません。本来やるべきと考えられる仕事が、忙しいとか、人がいないからという理由でできていません。 社員の能力がもっと高ければ、もっと仕事がはかどるのにと考えるのですが、教育をする時間が取れないことを理由に、人を育成することがほとんどできていません。
 このような状態について、今、何も手を打たなければ、会社の将来はどのようになるのでしょうか?


誰かがやるだろう、しかし、誰も動かない

 グローバル化の中で、日本の会社は間接部門の生産性はかなり低いと言われても、あまり気にしていません。会社の業績は売上げや直接部門の稼ぎによってほとんど決まると考えているからです。 また、会社の業績が著しく悪くならないかぎり、社員はそこそこの裕福な暮らしができているからです。
 裕福になれば、誰だって世の中や会社を変えようとする意欲は薄れます。
 日本人は能力が高いから追い込まれたら力を出すと考えていますが、もう追い込まれる時代ではないのです。
 今の慣習について、社員の多くは自分たちが作ったものではないので、それを変えることについて、自分たちの責任とか、自分たちがやるべきこととは誰も思っていません。
 したがって、今を変えることについては、すべての社員が反対だと考えた方がいいのです。今のほうがいいに決まっている。安住の地であるからです。このことに、会社のトップは早く気がつくことが必要です。


数字で捉えることができることは、競争力の源泉にはならない

 会社が業績不振に陥っているときは、本当の原因は多くの場合、見えづらいところにあります。たとえば、「良くない評判」とか「低い従業員モラル」、「サービス品質」などにあったりすることにあります。 しかし、実際には発生費用を抑え、従業員を削減し、投資を抑えて、厳しい目標を掲げ、数字として捉えられる明るいところを攻めようとします。
 ところが、数字で捉えることができる明確なものは、競争力の源泉にはあまりなりません。このような数字はお金があれば買えるので、競合他社も容易に獲得することができるからです。 逆にお金では買うことができず、生み出すために多くの時間と労力が必要となり、数字として見えづらいものが、他社との違いを生み出すことができるのです。
 間接部門の仕事は、従業員のモラルや評判、企業文化を高めていくための重要な役割を果たしています。仕事の内容は、数字で把握することがそもそも難しいので、競合他社も通常は時間をかけて分析をしたり、 評価をしようともしていないのです。

よそを真似しようとしても間接部門の改革はできない

 「うちはほかの会社とは違うのだから」とおっしゃっていますが、「よそではどのようにしているのか」ということを気にしている経営者の方がかなりおられます。
 これは、業界の慣習を破ったり、先陣を切って新しい仕組みを導入することには、どんな会社も躊躇をするからです。ところが、株主や顧客から「他の会社さんはみんなやっているのに、おたくはまだやっていないのですか?」と言われると、 「真似したくなくても、真似をしてしまう」現象が今、経営で起きています。
 本当は他社が間違っているかもしれないのに、「他社と同じ」であれば、なぜか安心をしてしまうのです。
 しかし、間接部門の改革は、前節で述べた通り、よそを真似しようとしてもできるものではありません。
 自社独自の改革になりますので、それほど簡単なものではありません。また、競争力の源泉を追い求める重要な仕事になりますので、部下に降ろして任せっぱなしという訳にはいきません。 改革を進める中で人に嫌われるようなことが出てくることもあります。嫌われても必要なことを断行することができるのはトップしかありません。
 「トップ自らが動くこと」。これが成功のための鍵になります。

 次号(後編)では、この改革の具体的な進め方を述べることに致します。

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<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  米山 昶夫

大手電機メーカーにおいて、研究開発から会社経営までの幅広い経験を積み、現職に至る。各企業における様々な経営課題の解決支援で多くの実績を上げる。全社的視点での経営品質向上支援では高い評価を受けている。

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