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エネルギーの管理指標(エネルギー原単位)について

  エネルギー価格は長期的には上昇し続けているが、原油価格(コスト)低下で、狂乱的上昇が「一服感」といった今日この頃です。
 しかし、工場には省エネ法が制定されており、全ての事業者、事業所において、平均的に原単位(熱量)を毎年1%以上の削減することが義務付けられています。省エネ活動は「一服」できないのが実情です。
 このエネルギー原単位は、外乱要因により努力しても悪化したり、何もしなくても低減することがあります。これを理解せずに省エネ活動を進めていくと、活動の停滞や悪化の原因を全て「外乱」の言い訳で片づけ、反対に低減は「努力」の結果だと勘違いすることになります。 原単位や活動の努力を正しく分析・評価することが継続的な省エネ活動には必要なのです。

1.エネルギー原単位とは?

 原単位とは、各種エネルギーがどれだけ効率良く生産に使われたかを見るための指標です。エネルギーの生産効率であり、以下のように定義されます。
 エネルギー原単位

 原単位の分類:エネルギー原単位は、目的により分母、分子が異なります。

(1)省エネ法の原単位:原油換算量(kℓ)/エネルギーと密接な関係を持つ値
(2)経理的原単位(経営者):利益の管理指標(長期) 使用金額/売上高、付加価値金額/売上高、
             使用金額/生産量 等
(3)技術的原単位(工場幹部):評価の管理指標(中期) kWh/t , m3N/m2 , ℓ/個、GJ/t , Kℓ/t 等々
(4)現場原単位(作業者):変化の管理指標(短期) \/t , 処理時間/枚 , 個/稼働時間 等 現場で把握できる数値

2.原単位管理の必要性

 モノづくりにとって、エネルギー原単位(効率)は、稼働率、品質、歩留等の重要な総合生産性指標でもあります。 段取りロス、チョコ停ロス、故障トラブルロス等が多いとエネルギー原単位は悪化しまた品質が安定せずバラツキが大きい場合や直行率が低く完成品歩留が低い状態も同様の結果を招きます。
 エネルギー原単位を見える化・数値化により管理し、利益化につなげることが省エネ活動の目的です。 見える化により進むべき活動の方向性が示され、職場のモチベーションアップの効果も高まります。

エネルギー効率化

3.原単位の細分化

 省エネ活動は、対象範囲、エネルギー種類、時間等を細分化することで課題が見えてきます。たとえば、それは次のような単位になります。

(1)対象範囲:全社原単位(報告義務)⇒ 工場全体原単位(報告義務)⇒ 部門原単位 ⇒ 工程毎原単位
(2)エネルギー種別:原油換算原単位 ⇒ 電気原単位、ガス原単位、灯油原単位 等
(3)時間:年間原単位 ⇒ 月間原単位 ⇒ 日間原単位⇒班毎原単位 ⇒ ロット毎原単位 ⇒ 時間毎原単位 ⇒ 連続原単位(FEMS)

 こうした管理項目を細分化することで、ネックとなる単位項目や活動の進み具合が把握できます。

4.原単位の変動要因

  エネルギー原単位は種々の要因で容易に変化します。

(1) 製造に関わる要因:生産量、品種構成、歩留まり、生産性、在庫、設備・工程変更等
(2) 外気要因:空調、クリーンルーム、冷凍機、チラー等の外気気温および湿度等
(3) 原単位自身の要因:生産量時期とエネルギー使用時期のギャップ、計測時間のズレ、分母の設定不適合等

 生産体制、気候条件、原単位の問題など、それぞれの変動要因を分析し、活動の寄与率を把握する必要があります。 以下に生産量の変動要因を例に定量化の手法を紹介します。

5.原単位の求め方〈事例:生産量スライド型原価管理)

(1)生産重量と使用金額の関係

生産重量を横軸に、エネルギー使用金額量を縦軸に散布図を作成します。
関係式:y=0.0244X+23.653 (1式) ( R2が小さければ、変動要因の分析をする)。

生産重量と使用金額の関係

(2)生産量と原単価の関係

上記(1式)の両辺を生産量Xで割ると、左辺が原単価(使用金額/生産量)となります。
生産量と原単位の関係式:y=0.0244+23.653/X (2式) これを作図します。

生産量と原単価の関係

(3)生産スライド型原価管理による考察

これを原単位と生産重量の相関で見ると次のことがわかります。
・原単価は生産量により変動する。(生産量が減少すると原単位は(2式)に沿って変動する)。
・原単価は±4%の範囲で変動している。

生産スライド型原単位管理

6.原単位の評価

 生産量が変動した時に、原単位は基準双曲線に沿って変化します。そして、それを定量的に評価するのが、生産スライド型原単位管理です。この基準双曲線より下回った分が省エネの努力分として評価できるわけです。 この原単位差に生産量を掛けると省エネ効果が金額で表示できます。

 エネルギー原単位の管理は、単純ではありません。ところが定期報告書の提出原単位、社内での原単位会議等では、この単純比較で評価される場合が多いようです。 省エネ活動の努力を正しく評価するには、生産量スライド型原単位管理のような変動要因を考慮した手法が必要です。ぜひ一度、実施されるようお勧めいたします。

 今回、ご説明したように省エネ活動は、クリーンなモノづくりだけでなく、コストダウンや問題発見にも役立つ取組みです。 テクノ経営では、多くの企業で省エネ活動の支援をさせていただいております。ご相談ご要望等がございましたらお気軽にお問合せください。

以上

<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  西山 哲司

大手鉄鋼メーカのエネルギー部門、企画部門、化学部門、海外建設・運営等に従事。特に熱設備の測定・診断、解析、開発によるエネルギーコスト低減および製鉄所省エネ体制の構築と事務局としての業務経験を基に、 省エネコンサルタントに従事し、以来、各種業種の省エネルギー(現場実践省エネ、エネルギー分析、体制構築、標準類体系化等)を実践推進している。

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