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問題の見つけ方(前編)

 多くの改善活動を指導させていただいておりますが、問題が見つけられない、また見当違いの問題を解決しようとしている場面に遭遇することがあります。 これでは、効果的な改善活動になりません。問題を解決するには、まず何が問題かわかっていなければなりません。 企業をはじめ、多くの組織において、いくら解決方法を知っていても「解決すべき問題」がわかっていないことがあります。 問題が起こり、不良や故障、災害に発展してから解決策を見出すより、問題になりそうなことを早くに発見し、まだ軽微なうちに手を打つことが重要です。 このコラムでは、問題の見つけ方について紹介したいと思います。

1.問題とは何か

 毎日の仕事の中で「不便だな、嫌だな、きついな、面白くないな、重いな、やりにくいな、なんとなく不安だな、退屈だな・・・・」といった不満を感じることが問題発見の第一歩と言えます。
 問題とは「あるべき姿と、現状との差」と言われています。したがって、こうありたいという意識がなかったり、現状とギャップのない目標からは問題は発生しません。 また、到達不可能な無理な目標を立ててしまえば、解決すべき問題にはなりえません。まず、「現状」を正しく把握し、今後どうしたいのか、目標となる「あるべき姿」を明確にし、その間の「ギャップ」を今後の取り組むべき問題として認識することが必要です。
 問題発見とは「あるべき姿」と「現状」との「ギャップ」の構造を把握することから始まると言えます。「ギャップ」をもたらすものが何か、その「ギャップ」がなぜ発生しているのかを洞察し、本質に迫ることが解決への道筋を示すことになります。
 いくら問題解決をしたとしても結果が伴わないような場合には、「問題」そのものを見直してみる必要があります。問題が明確になれば、解決策の効果が大幅に向上することは間違いありません。
 生産現場では、現場の問題以外に企業の多くの問題が集約されていることがあります。 たとえば、技術部門の工程設計のまずさが不良発生の要因になったり、購買部門の納期管理のまずさが、工程の手待ちを生じさせたり、保全部門の修復のまずさが再発故障を招いたり・・・といった具合です。 すなわち、現場の問題を見つけ、正しく解決することは、企業の問題の解決につながり、強いては企業の体質強化につながります。  

2.問題の種類

 問題には(1) 見える問題、(2) 探す問題、(3) 予測する問題という三つのタイプがあります。「見える問題」とは、問題の状況が明確になっているものを指します。 具体的には、品質の不良や社内外からのクレーム、計画に対するスケジュールの遅れ、目標の未達成などをいいます。大別すると、基準や計画からずれてしまった「逸脱型問題」と、目標を達成できなかった「未達成型問題」に分類できます。 「探す問題」とは、現状では特に不具合は発生していませんが、さらなるに改善のために目標を引き上げて積極的に問題を見つけ出すものです。これを放置しておくと現象が顕在化するまでは気付かない潜在的な問題となります。 現状の問題ではなく、将来的な問題となり得る「課題」と言い換えてもいいでしょう。「予測する問題」とは、新規事業や新商品開発などで、これまでと違った仕事の進め方やその成果に対してのリスクを予測することです。

 問題の本質を捉え違うと再発防止につながりません。すなわち、「発生したこと」が問題なのか、「見逃したこと」が問題なのか、また「対策に時間がかかったこと」が問題なのかで、まったく原因が異なり、当然、対策が異なってきます。 たとえば、ある設備の故障において、「発生したこと」が問題なら、その強制劣化要因の除去と歯止め、「見逃したこと」が問題なら、点検項目や頻度の見直し、 「対策に時間がかかったこと」が問題なら、トラブルシューティングの整備と修復スキルの向上、または予備品の見直し、といったことが再発防止策となります。

3.問題発見の取り組み姿勢

 問題を発見するために必要な取り組み姿勢としては、目的・目標を必ず達成しようとするこだわり、意識の高さと、問題を見逃さないという関心の高さ、仕事に対する責任の強さだと思います。 仕事の成果に対して無関心だったり無責任な姿勢では、問題を発見できません。たとえ目の前に問題が転がっていても問題を認識する意識や意欲がなければ、ただの一つの現象としか目に映りません。

 目標達成へのこだわりや意識の強さだけではでは不十分で、問題として認識するには、何らかの基準や規則が必要です。 例えば品質の問題では、製品が設計通りの機能や性能を発揮せずし、また歩留りや収率が計画通りでなければ問題であることが明確になります。 コストであれば、計画した金額を超えて経費予算を超えていれば、収益面から問題であることが明確になります。納期で言えば、計画した日程より遅れていると何らかの問題が発生していることが分かります。 つまり、計画や基準が明確でなければ問題の判断基準も不明確になり、問題の見過ごし、対応の遅れを招きます。

 問題発見には目標達成への意識の強さや関心の高さが大きく影響しますが、問題を客観的に把握するためのスキルも必要です。すなわち、数値やデータなどから問題の要因を分析し、問題の本質を見極めることが必要です。 日ごろからあらゆる仕事の管理は、計画を基準に進めることが基本です。これが問題の発生を未然に防ぐことにつながります。そして、管理が科学的で客観的であるためには、個人の価値観による判断ではなく、数値やデータに基づいていなければなりません。 数値やデータによる結果は、共通の土俵で説明ができ説得力があり、理解してもらいやすいものです。

 一部の人の関心が高いだけでは不十分です。その仕事に関わる全員が参加することで、より多くの問題を発見することができ、共有化することで、より大きな改善効果につなげることができます。

 今回お話したように、問題発見とは現状とあるべき姿のギャップを知ることです。問題には3つのタイプがあると申し上げましたが、「見える問題」の背後には潜在的な原因が必ず隠れているものです 。観察力や情報感度を磨き、「探す問題」や「予測する問題」に挑戦する意識が改善活動のレベルを高めます。曖昧で捉え難い問題も、数値データで表わすことで共有化できる改善テーマとすることができます。 そして、そのためにはグラフや図表を活用して問題を視覚的に把握することが役立ちます。
 後編では、現場における問題発見の着眼点について説明いたします。また発見した問題を共有化し、改善活動に落とし込む考え方にも触れたいと思います。

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<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  鈴木 正隆

応用化学を専攻し、大手セラミックスメーカーにて、新素材の研究開発、製品の製造技術、生産技術など、『モノづくり』の現場に様々な角度から携わる。改善推進、TPM推進部門の責任者として、工場の生産性向上、品質・歩留向上、原価低減、人材育成などのプロジェクトを統括するとともに、現場に入り込んだ活動を行い改革に貢献、大きな成果を上げる。安全衛生環境部門の責任者の経験も生かしながら、現在、コンサルタントとして活躍中。

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