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問題の見つけ方(後編)

 前篇では問題発見および改善活動の基本的な考え方について説明しました。問題発見は「なぜ」という疑問を抱くことから始まります。日常を観察する敏感な感性が改善の第一歩です。 そして問題の背景にある真因を正しく理解することが再発防止に役立つと申し上げました。
 今回は、職場の改善活動に活用できるポイントを中心に具体例を挙げながら紹介したいと思います。 

4.問題発見の例

 「見える問題」の見つけ方の例を紹介します。

(1) 生産性指標の上下変動から問題を発見

 職場の生産性(総合効率、労働生産性など)の指標(モノサシ)を設定し、基準と目標を設定します。指標をグラフなどで見える化し、日々の予実管理を進め、その上下変動から、基準を下回った要因(問題)を抽出します。

この場合、毎日の作業の中から身近な問題として捉えるには次のことが必要です。

 ・実際に発生した事実に基づいていること。(勘や予測ではなく)
 ・過去ではなく昨日・今日に発生した(起こった)ホットな事象であること。
 ・具体的であること。
 ・自責問題を中心に見つけること。

生産性を低下させる問題には、以下のようなものがあります。

 ○異常・ムラの問題
  ・故障・修理の発生
  ・不良、手直しの発生
  ・早くなったり遅くなったりする作業の発生

 ○作業の流れ(人・物の流れ)の問題
  ・手待ち、物の停滞の発生
  ・探し、呼び出し、手入れ・修正作業の発生
  ・確認作業、持ち替え作業

 ○不自然さ・疲れを伴う動作からの問題
  ・力のいる作業の発生
  ・作業姿勢の悪い作業の発生
  ・注意のいる作業の発生

 基準より低下した要因(問題)の発見と解決が進み、下振れしてくることが減少してくると、次は、目標に到達しない要因を問題として抽出します。

(2) 生産計画の遅れから問題を発見

 基準となる生産性を基に、生産計画(作業計画・投入工数計画)を作成し、日々の予実管理を進め、遅れの要因(問題)を抽出します。

(3) 3定のズレから問題を発見

 3定とは、在庫の置き場を設定する際に重要な基軸となる「どこに」「何を」「いくつ」置くかという3点をはっきり定めることです。その基準からズレる要因(問題)を抽出します。

3定がズレる問題には以下のようなものがあります。

  ・定めた場所からはみ出している・・・多すぎる=買いすぎ、作りすぎの問題
  ・定めた量がない・・・不足している=生産の遅れ、購入の遅れなどの問題
  ・定めた品物以外の物が置いてある・・・5S意識の低下の問題

(4) チェックシートにより問題を発見

・不具合発見の視点から、チェックシートを作成し、問題を抽出します。

・例として「設備と運転方法の不具合発見の視点」を紹介します。故障削減に有効です。

5.問題を発見したら粘り強く解決していきます

 問題を発見したら、発見した問題を共有化し、解決策を討議する「場」を様々なレベルでつくり、適切な解決方法を用い、やり続けることが必要です。その結果、強い企業体質が生まれてきます。問題解決の取り組み方として必要なのは

○優先順位を決める
 仕事全体との関係を見渡し,問題の大きさ,対策の緊急性,他の業務に与える影響,解決の難易度、解決策による新たなリスクなど、総合的に評価して,優先順位を付けて取り組むことが大切です。仕事の優先順位付けは問題解決だけではなく,あらゆる仕事にも通じます

○問題の源流まで遡って、真因を特定することが必要
 解決力のレベルアップはもちろんですが、大切なのは、問題の真の要因に対策を講じ,同じ問題が再発しないような恒久的な解決策(歯止め策)と標準化を備えることです。標準化とは,個人的な仕事の品質に止めずに,組織が仕組みとして再発を防止することを意味します。標準化は,一度定めても常にスパイラルアップの改善活動が重要であり,問題解決→標準化→維持の活動(改善効果の検証)→問題抽出と解決→標準の改定,というサイクルを回して改善の質を高めていきます。このサイクルを回し続けることによって、進化する現場が生まれてきます。

6.改善活動への展開

 問題を発見し、解決するサイクルを日々回し続けることで、現場力強化につながる有効な改善活動のベースが形成できます。 問題を発見したら、日常検討会で、原因追求、対策する改善(即実践、即成果)のサイクルを回します。他部門要因の問題は、 週間検討会でヘルプシートにより工場内で共有、顕在化して、部門協働で解決します。この活動を通して、メンバー全員(全員参加)のコミュニケーションを活発にさせ 、問題の気づき力、解決力、すなわち「現場力」を強化して、自律的改善風土をつくります。

7.最後に

 強い会社は、強い「現場力」を持っていると言われています。「現場力」とは、自律的問題解決能力があるということ、すなわち、現場の社員自らが現場の問題を発見し、解決していくための能力を発揮すること、あるいはその能力のある現場のことといえます。 決められたことを淡々とこなすだけではなく、常に問題意識を持って改善していく現場こそが、企業の競争力の源泉であります。
その意味で、「問題を的確に発見する力」というのは非常に重要なものといえます。

 効果的な改善活動が展開できるよう、今回のコラムを活用いただければ幸いです。

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<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  鈴木 正隆

応用化学を専攻し、大手セラミックスメーカーにて、新素材の研究開発、製品の製造技術、生産技術など、『モノづくり』の現場に様々な角度から携わる。改善推進、TPM推進部門の責任者として、工場の生産性向上、品質・歩留向上、原価低減、人材育成などのプロジェクトを統括するとともに、現場に入り込んだ活動を行い改革に貢献、大きな成果を上げる。安全衛生環境部門の責任者の経験も生かしながら、現在、コンサルタントとして活躍中。

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