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利益を生み出す効果的な設備保全活動(前編)

保全マン任せにしない仕組みづくり

 みなさんの会社では、設備保全の業務分担はどのようにされていますか。
たとえば設備エリアには、床掃除、雑巾がけ、塗装補修、整備などの業務があります。そうした業務の役割分担は、企業により様々ですが、保全マンが床掃除まで担当する場合もあるようです。
 しかし、機械設備に関することは何でも保全部門任せという考え方は間違いです。特に、業務が多忙になると、設備保全も適当になりがちですが、こうした時期こそ機械の不調が起こる傾向があります。 そういった事態を避けるためにも、これからは全社的な設備保全の取組みが必要なのです。

設備の5Sで全社を巻き込む

 設備の5Sとは、「清掃、始業終業点検、整備、修理、習得」をいいます。これらの定着を通じて全社的な設備保全活動が展開できます。
 まず清掃に関しては、日常点検を含め製造部門が中心となって実施すべきです。機械の汚れや油切れなど不具合の原因は、日々のメンテナンスの中で見つかることが多いものです。 清掃は、そうした問題発見の視点を養う機会ともなります。掃除、注油、増し締めの不備による設備の劣化は人的要因と考えましょう。
 また整備は、主に保全マンの担当エリアです。設備QC工程表や日常点検表などの帳票は整合性が取れていなければなりません。
 修理においては全てを抱え込まず、専門性が必要な場合や、難易度の高い保守は、メーカーやサードパーティに依頼することも大切です。
 そして習得とは、5Sの役割分担と情報交換により、全社を巻き込んだ設備保全活動を展開するための教育システムを指します。設備保全業務の分担をどう考えるか・・設備に関して、メーカー、メンテナンス業者・外注業者、設備・生産技術・技術開発、製造、派遣・請負など、部署別に習得すべき項目の明確化が必要です。 チェックシート、図解などを用いてわかりやすく習得できる工夫をした教育資料を用意します。また基礎教育には、ビデオ活用も有効でしょう。
  たとえば消耗品の交換について、部品の耐用期間が6か月程度である場合、(1)事前に交換する、(2)予備を持って故障時に交換する、(3)故障してから部品を調達する、といった対応が考えられます。故障時間を短縮するために予備をどのくらいもつべきか・・工場の地理的条件、年間保全経費との関係、前後工程との関係などを考慮し、明確化しておくことが重要です。

機能分類から改善を考える

 設備は機能面から、「(1)搬送設備、(2)加工設備、(3)プロセス設備、(4)組立設備、(5)計測評価設備」の5つに分類することができます。また設備の改善は、その働きによって目標やテーマを考えることができます。
 そこで重要なのが主体作業と付帯作業の関係です。主体作業とは、モノを加工・組立して付加価値を生み出す作業であり、付帯作業とは、それ以外の運搬や保管、検査などの作業を指します。
 主体作業は儲けにつながる作業であり、付帯作業は極力削減すべき作業です。改善の視点から設備と機能を考えてみましょう。

(1) 搬送設備

 モノを運ぶ働きをする設備です。搬送ロボット、パレタイジングロボット、 AGV(無人搬送車)、コンベア、リフタ、クレーン、ホイストなどがあります。
繰り返しになりますが、モノづくりの付加価値は主体作業である加工・組立により生まれます。それ以外の付帯作業は極力削減することを目標とします。ここでの改善の視点は、機械設備の導入による省力化が考えられます。

(2) 加工設備

 機械加工によりワークの形を変える設備です。旋盤、フライス盤、研削盤、ボール盤、タレットパンチ、NC加工機、レーザ切断機、レーザ穴加工機などがあります。  この設備における改善の視点は、作業者の可動率を上げることです。たとえば段取り替え時間の削減などがテーマになります。

(3) プロセス設備

 物理および化学的処理によりワークの形を変える設備です。自動表面処理装置、各種半導体製造設備、 印刷機、射出成型機、液晶パネル製造装置、焼成炉などがあります。 この設備での改善の視点は、徹底的に歩留まりにこだわり、ばらつきを抑えることです。最適条件を掴み、その条件の安定性を上げる工夫を考えます。

(4) 組立設備

 複数のワークを組み立てる設備です。電子部品実装装置、各種自動組立装置、自動包装装置、溶接ロボット、パーツフィーダ&ねじ締め機などがあります。 ここでの改善の視点は、設備導入の目的を再確認し、組立方法の高効率化を考えることです。人的作業との関連を重視し、「人 + 設備」で作業の最大効率化を図ります。

(5) 計測評価設備

 ワークの形を変えずに、ある物理量を計測評価する設備です。SEM、AFM、X線評価装置、画像認識装置、異物検査装置があります。 この設備における改善の視点は、プロセス条件や組立方法の安定化を目標とします。検査作業の効率化や簡素化が特に重要です。

  このように設備の5Sと機能分類による改善の方向付けで、モノづくりの効率化が実現できます。モノづくり改善は、人と設備が一体となった“マン・マシン・システム”として考えることが大切です。

 今回は全社を巻き込む設備保全活動のポイントをお話ししました。
次回は、より身近なテーマとしてチョコ停防止についてお話ししたいと思います。

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<<執 筆>> 株式会社テクノ経営総合研究所  中村 裕行

大手半導体メーカーにて、上場前の時代から生産管理・製造部門に携わり長年にわたって「モノづくり」の管理者として従事。全社製販在システムの企画~運用や新ラインの垂直立ち上げを実践し、半導体急成長期により良い品質の商品を大量に供給してきました。その経験を元にお客様と共に生産性向上・在庫削減等のテーマに取り組み、社員の意識改革を進めて高収益体質企業への変革を実践しています。

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