「制度や設備投資に頼らない、本質的な働き方改革」

 最近「働き方改革」という言葉がにわかに注目を浴びています。日本社会の労働力人口が減少傾向にある一方で企業においては、依然として長時間勤務・残業等の改革が必要な状況が存在しています。

 私はコンサルタントとして生産の問題解決ため度々現場に足を運び「工場診断」を行い、製造業のお客様のお手伝いをしてきました。どちらの工場にお伺いしても感じることは「改善の余地はまだ大きく残っている」ということです。

 一例としてある企業で「工場診断」を行った際のお話をしましょう。この工場では「価値」を産んでいるのは全体の活動のおよそ20%。後の80%は何をしているのかというと直接には「価値」を産んでいない作業になります。

 例えば運搬作業。手で運んだり、フォークリフトで運んだり、クレーンで運んだりしますが、運搬作業は1メートル運んでも100メートル運んでも物の価値が上がるわけではありません。
 こういった作業を「付帯作業」と呼びます。掃除や工具の交換、検査、記録も同様に考えることができます。生産には欠かせませんが減らせるなら減らす方がいい作業でしょう。

 価値のある作業、付帯作業の他は「ムダ作業」です。作業と作業の間の「手待ち時間」「待機」などが当たります。現場でベルトコンベアで製品が流れて来るまで待っているといったことはよくあるのですが現場にいる本人は意外と気づいていないものです。

 意識していない現場では「ムダ作業」はこの工場では作業全体の13%になりました。また空歩行、作業と作業の間に何もせず歩いている時間が10%ありました。こうしてみると8時間働く内の2時間弱はムダ時間であったと言うことができるでしょう。

 この企業では生産が追いつかないとのことで1日平均2時間の残業をしていました。先ほどもご説明したとおり、8時間プラス2時間の残業、計10時間の作業の内、価値のある作業をしているのは20%、すなわち2時間だけです。

 あとの80%はできるだけ減らすべき「付帯作業」となくしてしまうべき「ムダ作業」です。このように大きな改善余地はまだ見逃されたままです。「働き方改革」への取り組みはまずこの80%を減らすことから始めるべきだと思います。

 そのためには現場で働いている人たちが自らこの「ムダ・無理・ムラ」について気づけるようになることが必要になること、そしてその実践の方法を知ることが問題解決の早道になると思います。

コンサルタントコラム

執筆者のプロフィール


コンサルタントコラム一覧へ

アーカイブ