ASAP2012vol_1

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セミナーダイジェストSeminarDiges「トップが主導する「業界NO.1品質力」の築き方」品質保証の重要性企業としての危機管理は大変重要なテーマです。今年発生した原発事故でも、災害発生後の東電の対応が問題視さ....

セミナーダイジェストSeminarDiges「トップが主導する「業界NO.1品質力」の築き方」品質保証の重要性企業としての危機管理は大変重要なテーマです。今年発生した原発事故でも、災害発生後の東電の対応が問題視されました。また、最近よく目立つのが品質に関するクレームです。そして、製品に対する信頼性が失われることにより、企業の存続に影響を及ぼすケースが増えています。その例の一つとして、少し以前では雪印食品の事例を思い出します。一番重要な初動時の経営層の対応が非常にお粗末であったという印象が残っています。また、大阪の船場吉兆における産地偽装などもありました。船場吉兆のケースでは、食材の使い回しや賞味期限切れが大問題になったわけですが、この会社の根本的な問題は、すべてを人の責任に転嫁して自分たちは全然悪くないという態度を取ったことです。この場を過ぎればどうにかなるだろうという対応です。そこが大きな誤りでした。これに対して、札幌のお土産「白い恋人」で有名な石屋製菓は消費期限の表示偽装をしてしまいましたが、その後は徹底的な品質管理の見直しをはかり、ホームページで製造工程の情報をすべて開示しました。そして、それまで「白い恋人」は箱単位の消費期限であったのを、個別包装ごとの消費期限表示に変更したのです。そして、「私たちは今後このようなことを二度といたしません」と、口だけでなく行動で示しました。その結果、この姿勢と行動が高く評価され、石屋製菓は顧客の信頼を回復しています。最初の対応で明暗が分かれるこのように、同じような事態を引き起し、マスコミからさんざん叩かれたにもかかわらず、社長が率先して頭を下げて経営陣を刷新し、迅速な対応で顧客の信頼を回復している企業もあるということです。また、何かあっても顧客は、その後の企業の対応を見守っており、再び立ち直るチャンスを与えてくれるということです。先ほどの船場吉兆の場合は結局倒産してしまいましたが、当時、食中毒などの問題が発生したときには、馴染み客や現地の人たちが、今までお世話になった吉兆さんだということで、宴会などの注文をどんどん入れて支援する動きが見られました。また雪印の時にも、関係会社および雪印牛乳の愛飲者の人たちが相当サポートしてくれたようです。しかし、そのサポートも空しく、結果的にそれを裏切る行動を取ってしまったのでした。このように不具合というものは、起こるべくして起こる場合とまったく想定外に起こる場合があります。そして、発生時にその対応を一つ間違うととんでもない結末を迎える場合もあれば、上手く対応すれば時間はかかっても、従業員の雇用を維持しつつ、企業を存続して再び売上を伸ばすことが可能なのです。対応の仕方一つで天国から地獄までの差がでるということです。問題の発生時にトップがやるべきこと品質問題は発生させないというのが大前提です。ある会社のQA部長さんは「私の役割の一つは社内に潜んでいる時限爆弾を探す役割です」とおっしゃっていました。7 ASAP