ASAP2012vol_1

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SeminarDigest当然のことながら、納入品に対して様々な品質検査や評価を実施しても、どうしても不具合が発生する場合があります。そして、それはトヨタの例もあるように、どんな厳密な会社でもあり得ることなのです....

SeminarDigest当然のことながら、納入品に対して様々な品質検査や評価を実施しても、どうしても不具合が発生する場合があります。そして、それはトヨタの例もあるように、どんな厳密な会社でもあり得ることなのです。それでは、そうした問題発生時の対応方法ですが、大きな問題が発生した場合には、まず、トップ自らが現場に行き今後の処置を徹底することが必要です。もうかなり昔の話になりますが、アメリカで販売されていたスズキ・ジムニーがコンシューマテストの結果、砂浜で転倒する危険な車として槍玉に上げられたことがありました。その日のうちにアメリカにスズキの社長さんが飛んでいかれたのですが、テレビ報道された関係で各地から訴訟の波が起こり、マスコミからばんばん叩かれる始末です。当時の業務提携先のゼネラルモーターズが、アメリカは訴訟の国で弁護士に左右されると、自社の弁護士を紹介してくれたほどでした。社長は日本の技術陣に対してジムニーが砂浜で本当に転倒するのか徹底的な調査を命じました。そして、その結果、原因はスピードを上げてハンドルを切った運転操作の誤りであることが判明、砂浜で同じ運転操作をするとどんな車でも、必ず転倒することが証明されたのです。トップとしての説明責任トップが説明責任を持つ対象は三つあります。まず、第一に顧客、二番目にマスコミを含めた社会、三番目は従業員です。特に、従業員はトップのことばをじっと聞いています。例えば、原発事故後のニュース番組でも、眼を凝らしてトップの動向を伺う東電社員の姿が報道されていました。社長がどう発言するか、それによって自分たちは何をしなければならないかを真剣に考えているのです。そういう意味で発言する方は、顧客・社会・従業員という相手の存在を忘れてはいけないのです。トップ自ら説明責任を果たす場合、会社方針や責任所在を明言することが求められます。でないと、後から何か問題がでてくるとどんどん悪い方向にいってしまうものです。言ってはいけない説明上の禁句は「想定外の出来事」という言い訳。自分では想定外だと思っても顧客に対しては説明できないものです。「今後、きちんと調査して報告します」という表現をした方が相手に好感を与えます。また、大切なことは、全社一丸となって原因の究明と再発防止に関わるということです。この全社一丸というのがなかなか難しく、どうしても担当部門だけの責任に帰してしまうことが多いものです。しかし、ある会社の事例では、一刻を争う事態に対して、関係部門だけではなく、全社から100人程度の人が集まって、リコール対応として一斉に全国でレンタカーを借りて回ったといいます。その効が奏して、会社の姿勢が評価を受けました。そして、社会や顧客からの信頼性が回復され、反対にシェアを伸ばす結果につながったことを考えてみてください。トップとして知っておくべき品質指標トップとして知っておくべき情報は、市場でのリコールにつながるような重要情報です。どんな問題でも発生に先立って、必ずその気配や前兆があるものです。その前兆をいかに正確・迅速に把握するか、それに役立つのが、顧客や自社の営業、市場やフィールドの中で情報を指摘してくれる人の存在です。おかしいと気づいたことを電話やメールで知らせてくれる人、これは社内の品質情報システム以上に重要です。クレームに対するトータルコストは、アフター対策費だとかクレーム対策費、弁償費、仕損費、配賦金額などを総計して失敗コストという指標で捉えますが、一般的に売上比率で1%を超えると問題です。社内の失敗コストは0.1%程度に抑える必要があると思います。単価が安い部品を使い、顧客から莫大な損害費用を請求されたという例もあります。最初に品質保証契約を取り結ぶときに、その線引きを明確にしておくことが必要です。私の指導企業でも、失敗コストが0.1%以下の会社では大きなクレームは発生していません。皆さんの会社でも様々な形式で品質指標を設定されていることと思います。そして、品質指標にも、設計開発、納入先、市場、工場内、営業など各プロセスにおける指標があります。しかしながら、これらの指標は結果品質であり、いわば「死亡診断書」のようなものです。これらの指標を元に品質会議を行う場合が多いと思いますが、死んだデータからは効果的な対策は生まれません。不具合が発生した現場で、現物を見ながら原因を考え、対策を決めるといったスピードこそ最も重要です。業界No.1品質を目指すためには、問題が発生したときのスピードと行動力こそ、トップが配慮すべき最重要課題なのです。株式会社テクノ経営総合研究所開発カンパニー開発第1本部マネージャーマネジメントコンサルタントPROFILEしんどう進藤きよし淳大手機械メーカーにて品質保証・製造部門責任者として実務マネジメントを経験。その後国内子会社立上げ、海外子会社の現場改善等を通じて、品質改革を中心とした生産部門におけるQCD改善に貢献し現職に至る。弊社セミナーについては、ダイジェスト版を動画でホームページからご覧頂けます。ASAP 8