ASAP2012vol_4

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コンサルタントの日記関係性と口コミの時代口コミがブームをつくる森伊蔵という焼酎が密かなブームを呼んでいる。ネットオークションではなんと3万円以上という高値で取引されている。鹿児島産の有機栽培サツマイモ....

コンサルタントの日記関係性と口コミの時代口コミがブームをつくる森伊蔵という焼酎が密かなブームを呼んでいる。ネットオークションではなんと3万円以上という高値で取引されている。鹿児島産の有機栽培サツマイモを原料とする森伊蔵。その販売方法は電話による事前申込み制、しかも抽選で購入が決まるという限定生産品なのだ。伝統的な壷かめ手法というやり方で作られているらしい。厳選された材料と手間ひまをかけて作られる森伊蔵だから数量も限られるのだろう。店頭販売すると全国のファンが集まって、警察が出動する騒ぎになるという森伊蔵。なぜ一本の焼酎がそんなブームを引き起こしているのか。豆大福を売る京都の某和菓子屋では観光客を中心に長蛇の列が出来ている。洛北の白川女が立ち寄っていたという噂が口コミで拡がり人気が出たという。かなり昔の話になるが、日本リーバ(当時)がシャンプーの試供品を女子大の前で配って成功したという話がある。ティモテという商品名だったと思う。お嬢様学校だったので口コミ効果が期待できたのだ。情報を選別する口コミ口コミや評判がブームを引き起こす、これは昔からある現象である。これが昨今ではFacebookやtwitterなどのソーシャルネットワークで行われるようになってきた。少し前、キュレーションという言葉がブームになった。ジャーナリストの佐々木俊尚氏によれば“キュレーションとは情報を収集し、選別し、意味づけを与えて、それをみんなと共有すること”だという。インターネットが普及してくると情報のノイズも増えてくる。いったい何が本当の情報なのかが渦に埋もれて不鮮明になってくる。そこで、情報の海から一つのものの見方を提示してくれるキュレーターが求められるようになるのである。マスコミが判断評価の基準とされた時代から、信頼できる個人が発信する口コミ情報を頼りに情報が選別される時代になってきた。しかし、ネット環境にはマイナス面もある。ブログ炎上による誹謗中傷である。コメントは匿名なので過激になりやすい。企業HPが炎上するとイメージダウンにつながる恐れがある。口コミ戦略でヒットを生む佐々木俊尚氏は、自著の中でジスモンテというブラジルの音楽家を招聘して開催するコンサートの情報戦略を紹介している。その秘訣は小さなターゲットと情報飢餓を作ること。小さなターゲットとはある音楽雑誌の読者層に対象を絞ること、情報飢餓とはコンサート開催通知のみで最初からすべてを見せない手法である。興味の対象者と限られた情報、そこからターゲットが所属するコミュニティ内で口コミ情報が飛交うことになる。コンサートに関する申込情報が少しでも発信されれば瞬くうちに情報はターゲットを越えて伝わる。そして一瞬のうちに満員御礼となるわけである。そこにあるのは他者と情報を共有していくプロセスではないだろうか。単に物欲を喚起されて消費行動を起こすのではなく、関係性の中からファンが生まれてくる。このあたりに売れる商品開発のヒントがありそうだ。9 ASAP