ASAP2013vol_2

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特集2タイ中間管理職の育成タイ進出ラッシュ続く昨年、タイと日本は外交120周年を迎えた。古くはアユタヤ王朝時代からの交易、また、日本の皇室とのゆかりも深い。東日本大震災時にはいち早く発電設備2基が東電に無償で提供されたように、タイは非常に親日的な国家として知られている。タイの自動車生産台数は、昨年200万台を突破した。今や自動車産業はタイGDPの約10%を占める外貨の稼ぎ頭である。2011年、タイ洪水で一時的に操業停止に追い込まれた自動車産業だが、購入減税措置の年末期限を目前にした駆け込み需要も追い風となった。タイに海外拠点を構える日系企業は急増中、リーマンショック、東日本大震災および円高の影響で進出が続いたほか、チャイナリスク回避のためタイ進出に拍車がかかっている。海外進出企業の課題海外では部長・工場長ことが予想されている。好況にあるタイの失業率は非常に低く、売り手市場で人材不足が深刻化。組立などの労働集約的な部分はラオス、カンボジア、ミャンマーなど、ASEAN近隣諸国に移転する傾向が見られる。サプライチェーン改革サプライチェーン改革に関する様々な試みも産業構造の変革を後押しする動きである。バンコクから急速な民主化が進展するミャンマーのダウェー港に抜ける道路整備が進められており、完成後は最短のインド洋ルートとして東南アジアの有力な物流ターミナルとなる。また、バンコク~プノンペン~ホーチミンを結ぶ南部回廊では、フェリーに頼るしかなかったメコン河の渡河地点で日本のODAによる架橋が進められている。完成後は大幅な時間短縮になり、カンボジアで組立を行い、ベトナムのホーチミン港から出荷するといった低コストのサプライチェーンが実現する。このようにASEAN諸国の連携体制は3年後の関税撤廃に向けて動いているのである。本当に儲かっているか?コストダウンASEANで競争激化人件費の高騰ローカルマネージャー育成管理者の育成派遣者の多くは出向者意識被害者意識もある人材育成の重要な拠点と位置付け日本人の育成タイ産業構造の変化現地人の育成戦術を再検討マネージャーの育成取引先が海外進出したので、仕方なく出て行ったが…国内で手一杯海外の仕組み作りまでは?今年の1月からタイ国内の法定最低賃金が一律300バーツ(約940円・2013/2/14現在)に引上げられた。その目的は賃金の地域間格差を是正するためであるが、一方で、最低賃金アップは労働集約型から、より高度な技術集約型の産業構造への転換を促進する。今後は待遇条件もどんどん改善され、勤務体制も2交代から3交代制への移行、週休2日制の普及も進むローカルマネージャーの確保は多くの企業が抱える課題である。前述したようにASEAN諸国の一体化により、ものづくりの各工程をマネジメントできる管理者が求められている。しかし、タイの大卒者に占める理系の割合は約29%に過ぎず、残りの約7割は文系となっている。ここにもメーカー採用における需給バランスの崩壊要因が見られる。また、経験者も含めて優秀な管理者を採用することは極めて困難な状況にあるのが実情だ。そこで、タイにおいては、社内人材の中からマネージャー育成をはかることがどうしても必要になるのである。日本人スタッフの意識改革ローカルマネージャー育成のためには、まず、日本人スタッフ自身が自らの意識を変える必要がある。厳しい状況が続く国内産業だが、ものづくりの構造も大3 ASAP