ASAP2013vol_2

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テクノ経営総合研究所海外レポートタイ産業構造の推移~タイ・ミャンマー国境で進む改革~最低賃金の全国一律化日系企業の進出ラッシュに沸く好況のタイ。近頃では中小・零細企業の進出件数も急増中です。地元であるタイ企業や韓国企業なども含めたコスト競争も激化、また、2011年の大洪水におけるサプライチェーン寸断の経験から、取引企業に事業継続計画(BOP)作成を要請する顧客先との関係で工場の移転を模索する企業等、ここにも厳しい競争にさらされる現実があります。また、タイでは最低賃金の一律化が進められており、今年からは全国の最低賃金が月額300バーツに統一されました。インラック政権では段階的に最低賃金の引き上げを続けており、その増加の割合は過去1年で57%にも上ります。これにより地方進出によるコストメリットは失われつつあります。BOI恩典制度の見直しタイ政府が国内の最低賃金をアップさせている理由は、産業の高度化と周辺国との住み分けをはかっていくこと。つまり、ASEANのハブ(中心地)としてタイを位置づけるという目的を持っているようです。そして、そのことは工業省傘下のタイ投資委員会(BOI:Board of Investment)により行われている海外企業の投資奨励策(BOI恩典制度)の見直しにも現れています。その草案からはBOIの恩典を受けられる業種が大幅に制限され、政府が重視する技術集約的なものに絞られていることがわかります。国内産業の高度化に貢献する10産業分野を中心に、税制を優遇される業種は243業種から130業種に半減されることになります。ミャンマーに集まる熱い視線全国一律賃金の上昇と労働者不足、BOI恩典制度の改定に伴い、労働集約型産業の周辺国移管が進んでいます。その中でも2010年の民主化により注目を集めているのがミャンマーです。すでにタイ国内では200~300万人のミャンマー人が建設現場や水産物加工工場などに就労していると言われます。また、工場をミャンマー側に建設しようとする動きも見られます。ミャンマーにおける最大の都市は旧首都であるヤンゴンです。そのオフィス賃料はバンコクの2.6倍に急上昇しています。1m22100バーツという水準はソウル中心部の2465バーツにも近づく勢いです。ミャンマー国境で進む改革タイとミャンマーの国境線は1800キロメートルに達します。本州の長さが約1300キロメートルですから、その1.4倍近くに渡る国境が続いていることに5 ASAP