ASAP2013vol_3

ASAP2013vol_3 page 3/12

電子ブックを開く

このページは ASAP2013vol_3 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
ASAP2013vol_3

企業価値を高める改善への道標工場の移転計画は準備も含め約1年かかりましたが、引越しの段取りも指導いただきスムーズに進行できました。仮に自力でやったら大混乱しただろうと思います。やはり専門家に任せてよかったと思いました。また、工場移転のプロセスで関連企業の人材も成長しました。――今回取組まれた活動の概要をお聞かせください。堀内:第1期活動(2006年3月~2007年3月)が大阪工場(本社)と赤穂工場、第2期活動(2007年4月~2008年3月)は京都工場で推進しました。活動目的は、5S定着と人材育成が主な内容です。約25年前から社内で実施している5S活動ですが、外見的には綺麗だが、本質的な理解が不足していると感じました。活動を通じて職場リーダー育成をはかり、自主改善の定着を目指すことにしました。――活動前の工場診断はいかがでしたか。堀内:「クレーン速度に合わせて動くムダ」――これが工場診断における最初の指摘です。当社の前身は鋳物工場、そのため運搬はクレーン中心でした。そして、業態が変わっても何の疑いもなくクレーンに頼っていたのです。工場診断を受けてよかったことは、外部の視点で当社の現状を評価してもらえたことです。工場診断という形で専門家の意見を伺うと、新たな気づきが数多くありました。――そうした課題にどのように取組まれたのでしょうか。堀内:その対策として実施したことの一つが工場レイアウトの検討です。コンサルタントの指導のもと、工場図面を壁に張り出し、設備や機械の位置にピンを打ち、その間をヒモで結びながら動線分析を行いました。この工場レイアウト改善という発想は社内からは出てこないアイデアでした。それだけに新鮮に受け止められたのではないでしょうか。この検討の過程から、今までクレーンに頼っていた運搬を台車に変更するという新たな発想が生まれてきました。クレーン速度は一定のため改善余地がありませんが、台車なら動線と作業の工夫でムダな時間や距離も削減できます。また、それまでは大型の作業台で組立等の作業を行っていましたが、IEによる作業分析を実施し、小型の屋台形式の作業台に変更することで作業効率が改善されました。その後も、当社では“一歩一秒一円”の思想で作業改善を続けています。――全体の活動を通じた成果はいかがでしょうか。堀内:社内で実施していたときとは違い、プロの指導を受けたことで5Sの本質がつかめてきたと感じています。また、リーダー育成も達成でき、大きな成果があったと思います。フォローアップで自主改善の定着をはかる――コンサルティング終了後の自主改善は順調でしょうか。堀内:コンサルタントが去ったあと、せっかくの改善成果がもとの木阿弥になる企業も多いと聞きます。当社では、コンサルティング終了後も現在まで自主改善を続けてきましたが、この5年間で活動の目処が立つようになったと自負しています。現在取組んでいる新しい課題が在庫削減です。当社の在庫状況に関しては、リーマンショック後の受注減で在庫量も減少しましたが、翌年の尖閣諸島問題で日中関係が悪化、希土類製品の供給制限が予想されました。マグネットポンプが主力製品の当社にとって、部品供給が途絶えると大変。少なくとも1年間の備蓄は必要と考えました。また、2011年には東日本大震災が発生。震災後はポンプ受注が急増したため、在庫量を一挙に増加させる必要性が出てきました。その結果、現在も在庫過剰の状況が続いているからです。なんとか社内の改善意識で引っ張っても、4~5年も経つと次第に5Sに乱れが出くるものです。当社でも、この在庫や新入社員のレベルアップ等の必要性もあり、コンサルティング後もフォローアップをお願いしている次第です。ASAP 2