ASAP2013vol_4

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企業価値を高める改善への道標私が工場に入って、まず考えたことは工場改革をどこから着手するかです。改革の目的は人材育成と生産性向上、そして社長が以前より提言されていた在庫削減を進めることです。そこで社内でプロジェクトを組んで活動を推進してみたのですが、どの改善活動も途中までは上手くいっても長続きしません。そういう状況の中でなかなか良い方法も見当たらず1年が経とうとしていました。ちょうどその頃、テクノ経営総合研究所が主催するVPM大会(第1回開催・2008年7月4日)に参加する機会がありました。私がそのセミナーに関心を持ったのはプログラムにあるVPM活動の事例発表です。他社の実践事例を聞くことで改善活動を成功させるヒントが得られるのではないか、ここに関心を持ちました。そして、セミナーでのVPM活動の事例発表には心に響くものがあり「まさにこれだ」と実感した次第です。中央:代表取締役社長塩野秀作氏右:取締役工場長岡利博氏左:生産本部長生産管理部長田村克博氏――工場長ご自身がお感じになったVPM活動の特徴とは何でしょうか。岡:それはVPMが全員参加でムダ・ムラを削減する活動であることです。これが当社の風土とぴったり合う印象を受けました。やはり改善活動を成功させる秘訣は全従業員の意識を一つにすることだと思います。当社では過去にトップダウン型の企業改革を推進した経緯があり、やらされているという感覚が従業員のなかに残っていました。そこで「自分たちがやって自分たちが変えるんだ」という意識が必要だと感じたわけです。VPM活動の取り組み――以前、取り組まれていたコストダウン活動の内容はどのようなものだったのでしょうか。塩野:それはコストダウンを強力に推し進める活動でした。緊急のコストダウンが必要であった背景には子会社の赤字という当時の状況がありました。当社では子会社の事業にかなりの額を投資していましたが、その子会社が大赤字を出したのです。その当時、金融機関からはグループ経営としての業績が問われていました。連結決算で評価されますから、親会社は黒字でも子会社が赤字だと問題です。具体的には赤字が三期続くと融資がストップされるため何か手を打たなければ倒産するということにもなり兼ねません。そこで緊急の対策として短期的に子会社の赤字を補填し黒字を出して行く必要が出てきました。とはいえ私が社長に就任してからは連続して親会社の業績は増益基調でしたので、親会社にいる従業員にとっては突然のコストダウン活動は意外に受け止められたようです。――相当厳しいコストダウンを進められたのでしょうか。塩野:本当に大幅なコスト削減をやりました。そのなかでも一番の波紋を呼んだのは、親会社の従業員に対するボーナス減額です。「儲かっているのにどうしてボーナスを減らすのか」という反発、会社が生き残るために我慢してほしいと説得するのにたいへん苦労しました。会社存続のためとりあえず経費削減する。だから管理職にもお願いして給与も少し減額する、社長以下役員が全員賞与を返上するなどを実施していきました。だから私自身も社長に就任以来ずっと役員賞与をもらっていなかったのです(笑)。しかし、そうしたコストダウン活動を積み重ねた結果、子会社の業績も徐々に黒字に転換してきました。そこで、今までみんなに無理強いしてきましたから、コストダウン活動を少し緩めてみることにしました。ところが、そうすると今度は全体の利益率がガクッと落ちたのですね。やはり親会社には危機感の欠如が見られました。そこでこれからの当社には長期的な視点で体質改善をはかる活動が必要だという思いが出てきました。ASAP 2