ASAP2013vol_4

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特集1企業インタビューCORPORATE INTERVIEW塩野香料株式会社それがVPMを導入する転換点になったと思います。―VPM活動の概要についてお伺いします。岡:VPM導入に際して、まず工場診断を受けました。収益体質に向けた指針の説明を受け、社長にも担当の相澤コンサルタントに会っていただき、社長もこのコンサルタントなら大丈夫だといわれました。工場診断後のプレゼンテーションでは、初年度は現場の生産性向上から開始する提案を受けましたが、在庫削減に対する社長からの強いご要望があり、半年遅れで在庫削減にも取り組むことにしました。そして、私自身も2年程度で改善成果を出したいという意気込みを抱いていました。そうした経緯で取り組みを開始したVPM活動ですが、結果的には全社活動として推移していきます。最初の3年間は大阪工場での生産性向上および在庫削減で高い成果を生み出しました。そして3年目からは本社・研究開発部でもVPM活動を展開、5年目を迎えた現在、生産本部・営業・研究開発を含めた全社の経営品質を高める活動に発展しています。生産性向上と在庫削減に取り組む―活動テーマとして在庫削減を重視された理由は何でしょうか。塩野:香料の原料には天然物と化学品がありますが、近年では化学品が大半となっています。化学品の特性は長期保存しても劣化や変質が少ないことで品質上の問題は全くありません。しかし当社のお客様には食品企業が多いわけですから、WHOなどで定められた安全基準や規制があり、外部監査等を通じて製品の安全性や信頼性に関するチェックが入ります。「仕入れ後2年経過した原料は廃棄する」など、かなり厳しい基準が設定されているのが現状です。品質とは関係なしに原理原則的にはねられるわけですが、しかし余計に多くの在庫を保持すればよいというものではありません。常に必要な適正量の在庫をキープすることが大切です。そういうことを一品一品行っていくことが会社を収益性の高い体質に変えていくことにつながります。誰が在庫を管理しているのか曖昧で責任体制も不明確だった状況を改革する必要があったのです。―お客様の要望と在庫管理の連動は重要なテーマだと思います。塩野:昔から当社の在庫量は業界の平均水準より少し高めでした。お客様に迷惑をかけないようにするため、これが在庫を多く持つ理由です。いつでもご要望にお答えできるように製品も作り置きすることをやっていました。恐らく、今の2.5倍くらいの在庫があったのではないでしょうか。今までのコストダウンは短期的な活動としては成功しました。しかし、今後に向けて重要なのは長期的な体質強化を進める活動です。5年10年後の将来、現在取り組んでいる継続的な生産性向上の活動が会社のDNAとして後輩たちに受け継がれていくようにしなければなりません。―在庫削減活動の取り組みはいかがでしょうか。塩野:当社よりも低い在庫水準で回っている同業他社がある、だから何か良い方法があるだろうと思いました。そのためには従来の考え方や在庫管理の方法にとらわれていてはいけない。今までのやり方を変えて、常に在庫状況が見える化できるようなシステムを作り上げていく必要がある。そこで、月2回程度の在庫削減プロジェクトでは、生産性向上と連動して在庫を抑える改善を進めていく。ただ在庫を抑えるだけではなく、お客様にご迷惑をおかけしないためにはどうするか、そこで部門を越えた全社活動のシステムづくりを実施したところ、活動目標の7・8割方まで達成できるようになりました。―在庫削減活動の成果はいかがですか。岡:大阪工場では、田村本部長が専任リーダーを続けています。メンバーの意見を取りまとめて活動をサポートし、リーダーシップを発揮して工場の全員が毎日在庫を確認できる体制を構築しました。その働きは非常にすばらしいと思います。塩野:お恥ずかしい話ですが、以前は誰も正確な在庫数を把握していない状況でした。在庫数を聞くと「計算してきますので、では1週間後に」という答えが返ってくる(笑)。そんな感じだったのが、今は瞬時に出てくるように変わりました。みんなが意識して、どの在庫が多くてどれが少ないかが把握できるようになりました。現在で3 ASAP