ASAP2013vol_5 page 8/12
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ASAP2013vol_5
ご相談頂く企業の皆様に共通するのは、「どのような思想で新工場を最適化するのか」を考える“工程設計を担う人材”が不足している(あるいは全くいない)ことです。このような人材が不足している原因としては、次のことが考えられます。 1つ目は、30~40代の次世代を担う人材に工場立上げ経験が不足していることです。これは、日本国内では長引く不況の影響で、工場新設のペースが鈍化していたことが理由です。2つ目は、一昔前に中国等の新興国で工場立上げを経験している企業でも、生産効率が高い工程を設計するための経験を持った人材が不足していることです。当時中国等の新興国では、人件費の安さから手作業中心の生産ラインを構築していましたが、現在は人件費の高騰が顕著であり、過去の延長線上で考えることは得策ではありません。過去に囚われることなく、未来の高効率な工場づくりをリードしていける人材が求められています。 この2つの問題は新工場の立上げを検討している多くの企業に当てはまるのではないでしょうか。 図2は新工場の工程計画を行なう際に検討が必要な項目の一例です。以下に特に重要な3項目について詳しく説明します。 最も重要となるのは、「各設備の生産能力・制約条件の検討」です。使用する設備の生産能力を決め、設備間の能力ギャップを明確にすることで、ボトルネック工程(技術制約のある工程)を特定します。ボトルネック工程は工場全体の生産性を決定づける重要管理工程です。この工程の前には仕掛在庫スペースを用意し、前工程の設備停止等の影響から生産性を保護する機能を設定します。逆にボトルネックではない工程は、仕掛在庫スペースはほとんどの場合不要であるため、スペースを取り過ぎないように注意します。なお、ボトルネック工程を保護する仕掛在庫スペースに関しては、どのくらいの保護時間を設定するか経営判断が必要となります。新工場立上げの実情新工場の工程計画のポイント新工場の工程計画●投資妥当性検討●全体日程整合性検討●工場立地検討●材料調達検討 etc.生産方式検討●生産能力検討●物・情報の流れ検討●人員配置検討●生産計画立案方法検討●在庫管理方法検討 etc.事????業????企????画????建屋・原動力計画人??材??教??育??訓??練??計??画??建????屋????・????????原????動????力????工????事????????●工??程??計??画?? 設??備??発??注??・????据??付??・??調??整??工??事量????産????試????作????人????材????教????育????訓????練????●建屋仕様検討●給水、排水検討●原動力検討●クレーン検討●環境許認可 etc.●トレーニングスケジュール検討●教育メニュー準備●多能工化検討 etc.検討項目(一部)関係部署(例)検討時の活用ツール(例)工程別能力表(ボトルネック工程の特定)物と情報の流れ図、串刺し表、バッファスペース設定、リードタイムマップM-Mチャート、作業負担率ラインバランス表生産計画・在庫動態表検討による効果(例)各設備の生産能力と制約条件の検討工場内や工程間の物と情報の流れの検討人員配置検討生産計画立案方法検討製品在庫管理方法検討… … …企 画生 管生 技◎○◎○◎○◎○○◎○○○ ○製 造物 流施 設原価売却 ↓人件費 ↓生産性 ↑製造リードタイム ↓(短)在庫管理コスト ↓運搬機具費 ↓人件費 ↓生産性 ↓製造リードタイム ↓(短)在庫管理コスト ↓生産性 ↓人件費 ↓生産性 ↓図2 工程計画における検討項目例図1工場建設フローものづくり拠点の海外移転コストミニマムで立ち上げる! 特集27 ASAP