ASAP2013vol_6

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 2項で前述したようにクリーンルームは「清浄な部屋」です。つまり製造している製品の品質に応じて要求される清浄度を実現させる部屋であり、清浄度を実現させるために導入される清浄空気の流れによって空気性状が生まれます。一方、クリーンルーム内で管理すべきパーティクルサイズは数μm前後なので終末沈降速度と言って、鳥の羽のようにほぼその場に浮遊している状態に支配されます。これらの状態が重なることによって、パーティクルは空気性状に乗ってクリーンルーム内を浮遊いたします。パーティクルには凝集効果(図4参照)があり、クリーンルーム内を浮遊している間に どんどん大きく成長いたします。そして10μm程度まで成長したパーティクルの動きは重力依存となり落下し始めます。このようなメカニズムによって歩留りや品質に深刻な影響を及ぼす大きさのパーティクルが生まれるのです。 このような背景から空気性状を正しく把握することはパーティクルの動きや成長過程をも正しく把握することに繋がり、歩留りや品質の安定化に欠かせない重要な情報になるのです。 クリーンルーム内の空気性状と、クリーン化4大原則(ゴミを持ち込まない/ゴミを発生させない/発生したゴミを迅速に除去する/ゴミを堆積させない)を鑑みた作業手順や設備レイアウト、設備運転方法などをルール化し全員に周知徹底させる仕組みがクリーンルームという特殊な作業空間の管理技術であり、真の意味でクリーンルームを有効的に活用できることを意味いたします。この管理技術のレベルに応じて品質向上や生産性向上などクリーンルームに対する投資効果が大きく左右いたします。投資効果を大きくするためにも、管理監督者が中心となってクリーンルームの管理技術を高める改善・改革活動に取り組んで頂きたいと切望いたします。6. クリーンルームは清浄空気の導入によって清浄度を実現していることは前述した通りです。この清浄空気の導入量の目安を図5に示します。クリーンルームの管理技術を上げて行くことによって換気回数50回程度でも清浄度クラス1,000を実現した実績がございます。経営的に負荷の高いクリーンルームのランニングコストを下げられる可能性が高いことを視野に入れて改善・改革活動に取り組み、貴社の更なる成長に繋げて頂ければと思います。大手半導体メーカー 及び 半導体製造装置メーカーにて、国内外の17工場を対象とした生産性向上プロジェクトを立ち上げ、改善推進役(社内コンサル)を歴任。各工場の工場長から一般社員までを対象とした人材育成(意識改革)から生産リードタイム短縮・在庫圧縮・部材購入費削減や工場設計などを担当し各工場の利益拡大を実現。 その後、㈱テクノ経営総合研究所のマネジメントコンサルタントに転身し現在に至る。PROFILE株式会社テクノ経営総合研究所 開発カンパニー マネジメントコンサルタント皆川 倫治みな がわ   とも はる図4図5粒 径(μm) 0.01 0.1 1 10410 3清浄度クラス換気回数1001,00010,000100,000200~600回/h100~200回/h30~70回/h20~30回/h671801,70016,0009242200.010.1110粒径の異なる粒子間の凝集定数(クラス10以上は換気回数に加えて面風速を重視)清浄度クラスごとの換気回数4 なぜ空気性状がポイントなのか? 5 まとめ(クリーンルームの管理技術とは)6 最後に(クリーンルームの省エネ効果)ASAP 8