ASAP2014vol_2 page 10/12

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概要：
ASAP2014vol_2

　株式会社クロスエフェクトが手がけた心臓シミュレーターは「思いもしなかった顧客が、思いもしなかった時に、思いもしなかったものを買ってくれる」経験でした。　今、１００人に１人の新生児が先天性心疾患で誕生してきます。しかし、その手術は難しく後遺症が残る場合が多いのです。もしCTスキャンのデータで心臓モデルが作れば術前シミュレーションができる。「なんとかしてほしい」いう医師からの依頼でした。　そこで予期せぬ成功を目指して取り組んだわけですが、その結果、絶望的だと思われた新生児を心臓シミュレーターによる術前シミュレーションで助けることができました。この内容はテレビ番組でも取り上げられ、沖縄県立病院の執刀医の先生がわざわざ京都までお礼をいいに来られたほどです。　心臓シミュレーターは、CTスキャンのデータから光造形を使って製造します。やわらかい樹脂で心臓の内部まで再現したもので、型に流し込む樹脂を変えれば透明な心臓モデルを作ることもできます。　使っていただいた感想は実際の心臓とまったく同じだと評価をいただいています。当日は練習で行ったことを再現すればよいとのことで、大幅に手術の成功率向上に貢献できていると思います。　現在、この術前シミュレーションの保険適用を目指して国立循環器病研究センターと臨床実験を進めているところです。いまオーダーメードで心臓を作ると４０万円位かかりますが、平成２８年度の診療報酬改定で認定されれば患者さんには無料に近い価格で使っていただけるようになると思います。　内閣総理大臣賞を受賞　この心臓シミュレーターの一般普及用として、医学教育用のスタンダード心臓モデルを発売しました。世界初の量産モデルとなる製品ですが、ちなみに品番のＸＣＯ-３TのＴは竹田のＴです。これは模型ではなく生体モデルと呼んでいますが、私自身がモデルとなって開発したものです。　現在、３５,０００円でネット販売中ですが、やはり手で触る感覚を養うことが医学教育では重要です。今後はこれを世界中の医学生に教材として販売していきたいと考えています。　２０１３年の９月には、経済産業省の第五回「ものづくり日本大賞」内閣総理大臣賞を受賞。首相官邸で安倍総理から賞状を授与され、お話をする時間もいただきました。現在、日本の医療器具は数兆円の輸入超過です。「日本発の新しい医療器具を世界に向けて発信していってほしい。新しく日本からサービスを発信していくビジネスとして応援する」という力強いお言葉もいただきました。　未来をつかむために！ 　飛び立つ成功体験を間近で共有できる。メンバー同士がお金ではなく、志でつながっている。すぐ行ける距離感がFace to face の関係を生み出す。これらが私たち京都試作ネットの強みです。　目先の利益にこだわらず、「未来に点を打つ事業」を探す。そこから予期せぬ成功― イノベーションが生まれてくると信じます。　知識・経験・技術・改善・人材など既存のものを最大限に活用して、まったく新しい分野に挑戦する。向かうべき方向は顧客が知っている。常に大切なことはその兆しに自らが会いに行くことです。ものづくり企業探訪記京都試作ネット株式会社クロスエフェクト所在地代表者設立資本金事業内容〒612ー8443京都府京都市伏見区竹田藁屋町43TEL.075ー622ー2600 FAX.075ー622ー4700代表取締役 竹田 正俊2001年８月1日10,000,000円●プロダクトデザインおよび樹脂筐体設計●３Dスキャニング（デジタイジング）●光造形による３D開発試作モデルの製作●真空注型品製作 その他新製品開発に係わるトータルサービス●臓器シミュレーター開発9 ASAP