ブックタイトルASAP2014vol_4

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概要

ASAP2014vol_4

図3:技能伝承の進め方この3要素に分類しながらベテラン技術者の見える化を進めて行きます。そして、その内容を経験知、手法知、暗黙知に分類して共有化して行きます。それを総合して手法知にまとめていく。このような技術伝承の方法があります(図3)。 結果を導く原理原則を整理する。技術を伝えるということは理論と経験知をしっかり伝えるということです。経験知は理論を補完する重要な要素。例えば、失敗したときの経験がどういう状況で生じたのか。これを学ぶだけでも新たな気づきが生まれます。 特にミドルから若手社員に多く見られる意識の低下、これを危惧されている管理者の皆さんも多いようです。国内で勝つには技術力の向上が重要です。過去と同じ問題が何度も繰り返されていませんか。技術力が低下すれば品質の作り込み、コストの作り込みが抜けていきます。他社より技術力が落ちれば、コストや品質で劣勢に立っていく。コストや品質を上げるにはここを上げるしかありません。 このようにA社では現状の間接・直接部門の改善余力を把握して、向かっていく姿を全員で共有する“ 活人化プロジェクト”で低コスト高品質のものづくりを進めておられます。その対応に追われる。これでは高品質・ローコストの生産はなりたちません。 そのために私は設計部門の標準化を提案しました。ただ「こうしなさい」ではなく、なぜ「そうしなければいけない」のか。原理原則で考えるよう習慣づけること。 顧客からの要求条件は数値化をはかり、なぜ必要なのかを明確にする。要求された内容を機能展開していくことで、最適な部品や手法を選ぶ。どのような設計方法で、製造プロセスで、その場合のメリット・デメリットはどうなのか。設計思想が見えるようになると一人ひとりの意識が変わってきます。今まで個人技術で見えなかった設計思想や能力が身に付き、コスト、納期順守率などを考えながら、改善の話ができるようになります。 また懸念事項に関しては、こういう設計方法の場合、こういったトラブルが予想されるという事前の対策を盛り込みましょう。これが本には載っていない自社の設計技術として意外と役立ちます。失敗事例からも学ぶところは大きいのです。 最後に技術伝承のポイントを簡単に説明します。ここでご紹介するのは、生産技術におけるベテラン技術者がどうやって物事を決定しているか、そのプロセスを見るものです。 ベテラン技術者には職人技と呼ばれる部分があります。彼らが物事を知覚・解釈・判断する着眼点はどこにあるのでしょうか。 まず知覚については、設計情報や製品情報、工程管理における品質や出来栄えなどをどのように知覚しているのか。これを具体的に整理してみます。さらにどう解釈したのか、どんな風に結論づけて決定したのか。電機・化学・食品・自動車部品メーカー等の間接・直接部門での“活人経営”による、品質・コスト・リードタイム競争力を推進。人と組織の潜在能力を引出し意識改革と経営成果を獲得する体質強化指導は高い評価を得ている。PROFILE株式会社テクノ経営総合研究所 東日本カンパニー カンパニー長 マネジメントコンサルタント大 野 浩 行おお の    ひろ ゆき生産技術における技術伝承の進め方ベテラン技術者の決定に至る過程を3分類→知覚・解釈・判断の見える化知 覚どんな特徴を捉えるのか?解 釈どう解釈しどう考えるのか?判 断どのように決めるのか?技術を3要素に分類し実践知識へ変換経験知手法知理論知Know-Episode Know-How Know-What国内製造業で勝ち残るローコスト・高品質生産体質への改革ASAP 8