ブックタイトルASAP2014vol_6
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ASAP2014vol_6
ものづくり競争力の源泉は開発・設計技術にあります。製品の機能・デザインはもとより、コスト・品質の大部分は“開発・設計力で決まる!”といっても過言ではありません。 近年、国際的な競争激化を背景として製品開発サイクルの短縮が余儀なくされています。以前は数か月以上の設計開発期間の後、もっとも重要な立ち上げ評価の期間、つまり設計完了から量産までに3か月以上の期間があり、設計の段階でコストや品質を造り込む時間が取れたのですが、しかし、それは日本製造業が絶好調であったバブル期までの話です。中国、韓国、ASEANなどの台頭により、それまでの競争環境は大きく変わりました。新興国が短いサイクルで安価な製品を続々と市場投入するようになると、日本も世界のスピードに引っ張られてしまいます。デジタル家電業界の衰退も製品戦略の失敗に起因すると言われます。 ただ、海外企業の場合、設計品質の悪さが如実に表れるケースが多く、日本製品に対する信頼性は依然として海外で高い状況です。例えば、無事故を続ける新幹線などは日本ならではの誇れる事例といえるでしょう。日本製造業がこれからの国際競争に打ち勝つには技術力と品質で勝負するしかありません。そして、そのためには自社の開発設計力を充分に発揮できる体制づくりが必要です。 コスト・品質の造り込みと申し上げましたが、その実現には開発設計と生産部門の連携が極めて重要です。特に量産品の場合、ある時期の開発設計と生産技術や製造部門はお互いに協力して並走することが必要です。ところが部門間のコミュニケーションが悪く、例えば、製造部門には現場を見ていない設計なんて信用できないという先入観があり、また設計部門はできるだけ時間を短く作れるように設計しても現場が付いてこないという思い込みを持っているなど、コミュニケーション不足によりお互いに不信感を抱いているケースがよく見られます。そして、その結果、開発期間の短縮化もあって検証不十分な状態で市場投入される製品が増えているようです。 また設計部門も試作ができたら完了だと考えることがよくあります。しかし、1日に1000個も造る製品の完成度がわずか10個程度の試作でわかるはずがありません。試作は設計、製造、品質のそれぞれの部門が役割を分担しながら連携して量産時、市場での想定で製造仕様、品質を造りこむために、本来1回では無理で2~3回やることが必要だといわれています。これを限られた日程の中でやり抜くコツと工夫が今求められています。 また、金型作成には最低40~45日程度は必要で、これは多くの業界で共通しています。慌てて造っても使い物にならず、そこから修正に2~3週間かかって河 村 一 郎ものづくりは開発・設計力で決まる!部門連携が技術力発揮の秘訣特集2戦略的「開発・設計力」の強化策~自社の潜在力を引き出して、強力な技術部門を創る~図1 製品立ち上げ時の考え方営業企画>> 設計試作>> 設計引継>> 工場試作>> 量産試作>> 量産確認●量産開始>>>○量産決裁工場部門の活動設計の活動○引継決裁◇短期間の造りこみ⇒ ツボを押えた活動が重要造りこみ期間の不足グルーバル競争の中で積上げ日程の製品立上げは無理5 ASAP