ブックタイトルASAP2014vol_6
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ASAP2014vol_6
力を引き出すことはできません。 『知恵―清掃員ルークは、なぜ同じ部屋を二度も掃除したのか』(シュワルツ バリー、シャープ ケネス著アルファポリス 2011)という本があります。本書の要旨は、知恵は目的が理解できていなければ生まれないということです。この本には数々の事例が紹介されているのですが、表題にもなっている清掃員ルークの事例を紹介しましょう。 病院に勤務するルークの仕事は病室を清掃することです。ある日、植物状態で意識のない若者がいる病室を掃除し終わったところに父親が戻ってきました。父親はまだ部屋の掃除が出来ていないと思って、ルークに早く掃除するように命じます。しかし、ルークはすでに自分の仕事を終えているのですから、再び清掃をする必要はありません。ところがルークは反論ぜず、だまって部屋をもう一度清掃したのでした。 ルークがとった行動の理由は何でしょうか。それは彼自身が仕事の目的を理解していたことによります。彼は自分の仕事は単に部屋の清掃することではなく、病院にいる人々を気持ちよくすることが使命であると考えていたのです。このように知恵は目的がわかっていなければ出てきません。そして、それを引きだすのがプロジェクトリーダーの役割だといえます。 技術部門責任者の役割は「適切な課題を与えて技術者のパフォーマンスを引き出すこと」です。ただ、あまり細かい指示を出すのではなく大枠のスペックのみを伝えることが必要です。何のためにやるのか、どうすればそれが実現できるのかを考えさせることが大切です。 ワーキンググループとは、少人数による問題解決グループです。柔軟なメンバー構成でリーダーを中心に自主的な活動をするのが特徴です。 ワーキンググループはボトムアップによる活動であり、枠にとらわれない自由度が持ち味です。そして創造性が求められる開発設計部門には最適の活動だといえます。しまうからです。工場試作の段階で金型の設計検証により品質や性能が出ていることを確認し、さらに治具の製作や修正をかけて量産に入るのが通常の流れです。このように設計と製造部門が密接に連携してこそ効率的なものづくりができるのです。 ところがこんな基本的な製品開発の流れができてない現場が多々見られます。 例えば、試作も少しはするが設計は全然絡んでいないケースがありますが、あとから品質チェックしても上手く行かないものです。そして、そのあとも良くならないまま生産を立ち上げていくため、設備の問題も絡んで仕損じなどの不良がでてくる。それが非常に大きなロスになってきます。コストが高い、品質クレームの多発、性能がでないなど、問題の背景には技術の意図が伝わらず、設計の知恵が活かされない状況があるではないでしょうか。 ある企業で設計パフォーマンスを大幅に増強させる活動を支援したことがあります。技術部門を対象に、自分たちで自主的に取り組んでもらうことにしました。最初はポートフォリオやSWOT分析で自部門の進むべき方向の検討をしていましたが、やがて自分たちの課題が明確になるとそれぞれ独創的な手法で課題解決に取り組む姿が見られるようになりました。 ここから気付いたことは、目的が明確になれば集中する、頭のなかが整理されると行動は速くなる、という技術者に共通する一般的な特性です。進むべき方向性が明確になってこそ彼らのモチベーションは上がります。組織の進むべき方向性が曖昧では技術者の潜在技術者のやる気を引き出す!ワーキンググループによる問題解決戦略的「開発・設計力」の強化策特集2原価↑製造への引継ぎ時造りこめず原価未達企画設計目論の製品別原価製品別原価製品別収支…未達立上げのロス ~ 大きなムダが続く赤字でなくても慢性的な収支未達は続く13高い利益率の陰でムダが見えない図2 製品立ち上げ時、造りこみが十分でないと大きな無駄がつづくASAP 6