ブックタイトルASAP2015vol_2
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ASAP2015vol_2
――今回の活動を始められた背景は何でしょうか横田:志布志工場では高騰する人件費や材料費に対し、より生産性を高める必要に迫られていました。また生産管理の仕組みが未確立であり、管理手法の構築が必要となっていました。チームとしての連帯感向上と現場活性化が求められていたのです。 私たちには2つの課題があり、その一つは生産管理をいかに定着させるか、もう一つはメンバーにやる気を出させて、どれだけ現場を活性化できるかという課題でした。この2つを同時に進める方法に非常に苦心していました。――貴社の改善活動に対する課題をお聞かせください横田:今までも「現場活性化プロジェクト」のような形で改善に取り組んでいたのですが、なかなか思うとおりに進まないというのが実態でした。生産管理のシステム化としては、過去に設備を中心とする活動を実施したこともありました。しかし、そこには人の視点が欠けていたようです。与えられたテーマ、指示するだけの活動では人は育たない。生産管理のシステム化と同時にメンバーたちをいかに動機づけ、やる気を出させるか。それが課題であり、それらのテーマを並行して実現できる方法を模索していました。 当社のような縫製業は人がミシンを踏んで1枚1枚の制服を縫いあげる労働集約型産業であり、人をどう活かすかで生産性が決まります。オペレーターが「日常をこなすだけ」の仕事に留まるか、「各人が考えて」仕事に取組むかでは数字や品質に極端な差が現れてしまう業界だと思います。それはまさに意識の差であり、オペレーター個人の技量をあげていくことは勿論の事ですが、各人にやる気を出させ、縫製ライン内の連帯感を高め、いかに現場を活性化し、生産性を上げるかが重要課題となっていました。コンサルティング導入の理由は客観的な評価を受ける必要性を感じたこと、また、あまり良い表現ではありませんが第三者からの強制力で活動を前に進めたいと思ったからです。 テクノ経営のVPMの考え方は人的な生産性に焦点を当てたものであり、まさに当社が希求していたメンバーの意識を変え、ボトムから現場を変えていくという主旨にあったことにも非常に興味を覚えました。菅公学生服株式会社 志布志工場C O R P O R A T E I N T E R V I 特集1 企業インタビューE Wボトムアップの「気づき活動」で生産性120%をめざす志布志工場「KKチャレンジ20活動」 菅公学生服株式会社は、岡山県に本社を置く、学生服・体操服などの学生向け衣料の製造販売会社である。安政元年(1854年)創業以来、今年で162年目を迎える歴史。まさに幕末から明治維新を経て、日本の近代化と歩みをともにしてきた企業であるといえる。社名にもなっている、主力ブランドの「カンコー」は、学問の神様として親しまれている菅原道真公(菅公)にちなんで名付けられたもの。 現在、岡山県倉敷市、鳥取県米子市、宮崎県都城市、鹿児島県志布志市の4ヶ所を基幹工場に、14の衛星工場を有し、詰襟学生服・ブレザー・スラックス・セーラー服・スカート・体操服等々、学生衣料の製造を幅広く手掛けている。 1973年(昭和48年)竣工の志布志工場では学生体操服のトレーニングウェア上下を中心にウィンドブレーカー、企業ユニホーム等のアイテムを裁断から縫製・仕上げ・検査まで一貫した工程が行われており、基幹・衛星工場を合わせて320名の体制で、年間約120万点が製造されている。 制服は機械だけでは作れない、人の手による裁断、組立、カンコー学生服には匠の技が活きている。熟練の技術を全社に伝承、業界最高レベルでの制服づくりが進められている。生産管理の高度化とライン活性化を目指して菅公学生服株式会社 志布志工場1 ASAP