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概要

ASAP2015vol_3

 近年、ヒューマンエラーによる災害や事故が多発しています。それに対して、さまざまな対策が施されているにもかかわらず、一向にその件数が減りません。ヒューマンエラーを起こさない仕組みづくりは果たして可能なのでしょうか。 ヒューマンエラーは、いつでも・どこでも・誰にでも起こりえる問題です。よく知られているハインリッヒの法則によれば、1件の重大災害の裏には、29件のかすり傷程度の軽い災害があり、その裏にはヒヤリハット体験が300件もあるといわれます。つまりヒューマンエラーを起こしやすい傾向を放置すれば、やがては大きな事故につながる危険性があるということです。 「災害は忘れたころにやってくる」といいますが、これだけの対策を講じたから大丈夫という気持ちで、その後の継続した手を打たないでいると、予期せぬ事態に見舞われることになります。 ヒューマンエラーとは何か、なぜ起こるのか、その対策をどう打てばよいのか。この共通認識が各職場にあってこそ、災害や事故の未然防止が可能になります。 ヒューマンエラー防止対策は組織全体で取り組むべきものなのです。 ヒューマンエラーには、個人、環境、ストレスに関する要因が絡んできます。その3つの要因について簡単にご説明しましょう。■ その1:個人的要因 個人の性格や身体状況、業務の習熟度などによる要因です。ルーチン作業や習慣化された行動は無意識のうちになされますが、人間の注意力、集中力には限界があり、いくら慣れ親しんだ行動でもしばしば間違える場合があります。 たとえば疲労により作業の能率は低下しますが、同時に判断ミスが増加します。 もともと人間の知覚は判断ミスを引き起こしやすい構造を持っています。よくある錯視図形などに見られるように、脳の情報処理そのものが引き起こす錯覚は誰にでも起こります。 また人間の記憶も極めて曖昧なものです。エビングハウスの忘却曲線によれば、学習20分後に58%記憶していた内容が、1日後では26%に減ってしまいます。このように記憶は時間と共に薄れ、変化します。それが思い込みや省略などのミスを引き起こします。■ その2:環境要因 照明、空調、騒音など、作業環境に関する要因です。たとえば暗くて見えにくい、作業温度が適切でない、うるさくて聞き取れないなど、環境条件の悪い職場ではミスが起こりがちです。■ その3:ストレス要因 主に職場風土の問題などに起因するものです。たとえば作業方法の指示が曖昧、5Sの不備で作業が手間取る、職場の不文律が多い場合などです。こうしたストレス要因が多い職場では作業ミスが起こりがちです。 人間が引き起こすミスは4種類に分類されます。ただし、このなかで違反は故意による逸脱行為であり、ヒューマンエラーではありません。違反については別の対策が必要です。 ヒューマンエラーは、ラプス、ミステイク、スリップの3つに分類されます。ヒューマンエラーはなぜ起こるヒューマンエラーとはヒューマンエラーの原因ヒューマンエラーの分類HUMANERROR!岩崎 行緒ヒューマンエラーゼロへの具体的アプローチ特集2マネジメントコンサルタント(日刊工業新聞社 技術セミナー講師)行動の段階(一連動作の実行中にミス)情報伝達/認知・判断の段階(動作の前にミス)意図的な人間行動やろうとしたことがそもそも間違っていたものをいうやろうとした動作は正しかったのに、その動作がきちんとできなかったものをいうルール違反不安全行動7 ASAP