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概要

ASAP2016vol_1

 2012年から中国工場での指導をスタートしました。当初は、海外と国内で環境の違いによる指導方法で悩んだ時期もありましたが、海外工場(中国)での活動を進めて行く中で、ある共通点に気づかされました。それは国内・海外を問わず、改革成功のカギを握るのは「人と組織の成長」であること。すなわち組織のパワーアップや成長の基礎である「人づくり」にフォーカスし、「組織間の連携」を強化することの大切さです。 今回は、私自身がコンサルティングの現場で発見した改革成功の秘訣についてお話しいたします。  企業トップからのご意見として、「いままで改善・改革をやってきたが、いつも効果が出ないうちに尻すぼみになってしまう」という声をよくお伺いします。せっかく始まった改善活動も途中で頓挫したのでは現場のモチベーションは下がる一方です。また、それが原因で改善・改革活動に対するボトムからの拒否反応が見られることもあります。 トップダウンによる強引な改革を進めたり、他部署を巻込めないで自部門のみの改善に留まっていては、早晩、活動は停滞し長続きしない結末にいたります。ではなぜ、改善が定着しないのでしょうか。その原因の多くはアイデア先行型による行き詰まり感が発生しているためです。ここでいうアイデア先行型とは、前提として理想的なテーマを設定する方法です。「あるべき姿」を目指すというアプローチそのものは悪くないのですが、ただ、問題発見にいたる肝腎なプロセスが抜け落ちています。まず問題ありきで活動を進めるのが自然で本来的なのですが、アイデア先行型では現状把握の目線が省略されてしまっています。そうした視点で活動を捉えると、漠然とした抽象的スローガンや現実とかけ離れた目標設定をする錯誤に陥ってしまいがちです。そこで私は、改善・改革活動の始まりに際して、気づきの視点を養うことで、問題先行型へシフトチェンジする事をお勧めしています。 たとえば、よく言及される問題意識の欠如もそこに原因があると感じています。例えば、トップからの経営課題がブレークダウンされても、アイデア先行型の人は、どんな問題があり、何を解決すればよいのかと悩み、思うような結果が出せない事になります。そこで組織の中で問題先行型の人材を育成する手段、気づきによる問題解決の訓練が重要となってきます。 もう一つのポイントは、「気づき活動」が改善と楽に取り組めるツールであることです。一口に「職場の問題を探し、改善しなさい」といっても、良い意見はなかなか出てこないものです。また、いきなり改善に取り組もうとするとメンバーの意識が硬直し、過度に難しく考えがちになってしまいます。だから、「気づき活動」では、問題と対策は切り離して気楽に進めるようにしています。改善・改革活動への負担感を減らし、誰もが気軽に参加できるよう最初はハードルを下げることがポイントです。「気づき活動」の目的は問題発見の視点を効果的に植付けながら、成功体験を積上げていくことで、個人の意識変革や成長に繋げて行くことです。私はこれが人づくりの基盤となると思っています。 どんな職場にも、顕在化・潜在化を問わず、多くの問はじめに気づきによる人づくり職場内の連携とリーダー育成小林 健二改革を成功させるカギ!特集2株式会社テクノ経営総合研究所西日本カンパニーマネジメントコンサルタント15 ASAP