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概要

ASAP2016vol_3

意味付けを行うよう導いていく。 刈り取りの場面ではできるだけ相手にしゃべらせる。人間は自分が言ったことを否定できない。顧客の反応を見てセールスの質を向上させる努力を怠ってはならない。また、製品販売後は必ず購入理由を聞くこと。営業は製品やサービスを売るのが目的ではなく顧客の頭の中をリサーチし、顧客満足を提供するパートナーとなることが真の目的と言えるだろう。  営業用ツールやトークの標準化 売り上げに直結する顧客情報は3つある。「見込み客を見つけやすくするための情報」「営業活動を効率化するための情報」「真の購入理由を知るための情報」である。 これらの情報を得るためにセールストークをモデル化し、自社で営業マンと顧客役に扮してロールプレイングを行うことで営業の質を底上げできる。尋問調の感じの悪い営業トークではなく、円滑な営業トークで顧客情報を楽に取得できるようになるものである。こう言った取り組みが営業におけるノウハウ蓄積につながっていくことになる。 取得した顧客情報は、各社の情報を1枚のシートで閲覧可能にすると効果的だ。顧客の情報管理状況や見込客の抽出も容易にでき、営業チーム全員が頻繁に確認する習慣が身につくからである。 「種まき」の後には「育成」を 「育成」とは顧客情報に基づいて顧客が求める独自の製品価値を訴求することである。ものづくり企業が製品を説明する場合、概して定量的な情報(スペック)の羅列となることが多い。 しかし、これでは顧客の現場改善や利益向上に貢献する情報提供にはつながらない。「製品の価値」は言語化、文章化してこそ伝わるのであり、「使ってみればわかる」といった中途半端な説明では真面目に売る気がないと言わざるを得ない。 顧客の利益や満足は製品・サービスがもたらす効用から生まれる。だから製品やサービスを消費することで得られる結果や成果をうまく伝える必要がある。製品やサービスの特徴からキーワードを抜き出して販促資料やセールストークに加える作業は欠かせない。たとえば「短納期、精密な加工、最新設備の保有」といったキーワードが顧客に提案できるボールになる。キーワードがたくさんあればあるほど顧客に提案できる数が増える。合わせて競合企業のボールを知る努力をすればつまらない価格競争から脱出することができる。 「育成」した企業を「刈り取る」 「刈り取り」とはクロージングと呼ばれる顧客に購入の決定を促す行動である。人間は五感が刺激されることで頭の中でその製品を買う意味付けをし、その後「購入する」という行動を起こす。 顧客の五感を刺激する方法、それは質問をすることである。質問することで脳の働きが始まり、具体的なイメージが展開する。顧客に質問を投げかけることであるべき姿と現状のギャップを認識させ、その解決のために自社製品が有効であると思わせればクロージング(刈り取り)は半ば成功したと言える。 顧客に投げかける質問は当然、事前に考えておく。顧客情報に基づいて顧客の要望についての仮説を組み立てておく。これを元に質問を繰り返し、顧客に製品購入の中小企業診断士。一部上場メーカーでの工程管理・外注工場・商社の指導管理を経て、コンサルタント会社に入社。大手家電メーカー及び、販売網である専門店の活性化プロジェクト等を指導、200店以上の販売実績を倍増させた経験を持つ。その後、独立し創業者育成を行う傍ら、販売力強化や企業経営の活性化のための研修やコンサルティングを通じて多くの成果を挙げている。PROFILE株式会社テクノ経営総合研究所 客員コンサルタント乾  哲 也いぬい    てつ や3ものづくり企業のための売れる営業の仕組み構築ASAP 8