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概要

ASAP2017vol_1

 ヒューマンエラーに起因した品質・安全問題が後を絶ちません。また多くはこういった問題の原因を当事者の責任にしてしまい、解決を遅らせているのが現状です。 先日もある会社の品質問題における是正処置書を確認させて頂いたところ、「作業員への指示を徹底します。」という対策で締め括られていました。対策立案者は、意識することなく、知らず知らずのうちに作業者のみに責任転嫁している事例が多く見受けられます。  この対策として、ヒューマンエラーを防ぐには、作業者のみの対策に留まらず、職場全体で、場合によっては会社全体での対策を考える必要があります。このためには、品質モデルを用いて考えることが重要です。 一例としてよく使われるmSHELL(エムシェル)モデルを上図に示します。このモデルでは、中心に自分自身(当事者)のL1を置き、L1は、S(ソフトウエア)、H(ハードウエア)、E(環境)、L(ライブウエア:周囲の人々)に取り囲まれている状態を示しています。構成要素の縁(ふち)が直線では無く、波線であるのは、それぞれが人の特性と上手く噛み合っている必要がある事を示しています。各要素 をうまく調整していくことがヒューマンエラーを防止することにつながり、S、H、E、Lの全体をみながら調整を行うのがマネージメント(m)であるとするモデルです。 このモデルで表されるように、ヒューマンエラー防止は当事者個人の問題に留まらず、作業標準や訓練などのソフトウエア、ポカ除け等のハードウエア、作業環境、周りの人たちによるチームワークなどの要因に分けて考え、各々に対策をとり、全体の整合性をとって実践するマネージメントを行う必要があるのです。  次にハードウエアやソフトウエアに起因するエラーの未然防止方法について考えてみましょう。下図に一般に用いられているエラープルーフ化の原理を示します。①排除 作業そのものや作業上の制約を生じる要因を取り除き、作業や注意を不要にすること。②物理的制約 作業者が起こし得る作業や確認ミスなどを、確実な何等かの方法でできなくすること。③負担軽減 作業を作業者の行ないやすいものにして、認知や身体的な負担を低減しミスを防ぐこと。後を絶たないヒューマンエラーによる品質・安全事故品質モデルで事故を考えるエラープルーフの考え方ヒューマンエラーによる品質問題を考える橋 本 幸 明株式会社テクノ経営総合研究所 開発カンパニー マネジメントコンサルタント特集2エラープルーフ化の原理7 ASAP