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概要

ASAP2017vol_2

――「国内でもあまりない」とおっしゃいましたが、発泡シートは海外メーカーが強い分野なのでしょうか?岡田:いや、むしろ海外メーカーではほとんど製造していません。国内でも競合するのは3社程度です。製造技術の難易度が高く海外メーカーは手を出したがらないのです。 軽量で耐久性に優れる発泡ポリプロピレンの部品保管箱は自動車部品メーカーが海外進出した日本の自動車メーカー向けに部品を納めるときに欠かせないものになっています。海外では調達できないので最近では素材として当社製品を輸入し海外で箱として組み立てて使おうという動きもみられるようになりました。―― コンサルティングをご導入いただいた経緯をお聞かせ下さい。岡田:当社は発泡シートを40年前から製造している発泡シート製造では歴史の長いメーカーです。発泡シートは製品の用途が幅広く、どうしても多品種少量の生産になります。加えてそれぞれに対応するために、特殊な技術や成型に関する条件設定などの知識や経験が必要になります。従って製造に関してはベテランの「職人技」に頼る部分が多いというのが現状でした。 ところが10年ほど前から、生産現場の年齢層にギャップが目立つようになってきたのです。そうなるとこれまで積み重ねてきた「技能の伝承」が滞り、解決すべき課題としてクローズアップされてきたのです。―― 技能伝承の必要性について痛感された出来事が他にもあればお聞かせください。岡田:先ほどもご説明しましたとおり、当工場で製造する発泡シートに加え、当社全体では食品用包装フィルムと産業用フィルムを製造しております。実はフィルム製造の技術は既に一般化され体系化されています。 これに比べると、発泡製品の技術は特殊である上、体系化も不十分で、本社から技術についての問い合わせがあっても「詳しいところは職人技なので」と答えざるを得ないことがしばしばありました。 製品自体の処方など技術的な点については研究・技術部門が担当しているのですが、実際に製造するための技術・ノウハウは現場でしか蓄積されません。明確な形で技能伝承を進めることは技術・技能水準の維持と向上を望む現場からのニーズであるとともに技術技能を体系化して財産としようと考える本社からの要望でもありました。――さまざまなコンサルティング会社がある中でなぜテクノ経営をお選びいただいたのかお聞かせください。岡田:10年前には他社コンサルタントに入っていただいて小集団活動を行ったのですが、合理化目標として数値を設定、力技を使ってトップダウンで進めたこともありました。しかし、現場に目標を与えて無理矢理、数字を引っ張り出すようなやり方は反発を生むだけで定着せず現場には小集団活動に対する嫌悪感だけが残ってしまったようでした。 そうは言っても技能伝承と体系化の必要性は依然として残っています。困り果てていたところにちょうどテクノ経営のコーディネーターからお話を聞く機会がありました。 当社と同じような悩みを抱えておられる企業に対するコンサルティング事例を紹介いただき、最初は半信半疑でしたが、生産の現場が自ら問題意識を持ち、自ら動き始めるよう活動を導いていくというお話を聞くうちに次第に興味を持つようになりました。現場で発生した世代間ギャップを埋めるために企業価値を高める改善への扉自ら問題意識を持ち、自ら動き始める現場作りのためにASAP 2