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概要

ASAP2017vol_2

ることによって班長は自班の方針をまとめて伝えながら他班の考えを集約する必要があるのです。班長の能力が広がりさらに力量も試すことができる厳しい反面面白い取り組みだと思いました。――班長はベテランメンバーが務められているのですか。岡田:そうしている班もありますが若手が班長を務めている班もあります。経験ではなくメンバーとのコミュニケーションがしっかりとれる人を選びました。―― ベテラン班長と若手の班長、何か違いはありますでしょうか。岡田:ベテラン班長は経験がありますから改善策をとりまとめるのも巧く活動自体はスピード感を持って進めます。その反面、班の活動や方針がその人の色に染まってしまうという欠点があります。 若手は改善策のとりまとめに時間はかかりますが、先入観にとらわれないのでわかりやすく内容が濃いものとなります。技能伝承という観点から見ると若手がリーダーとなってベテランと丁寧にコミュニケーションをとりながら技能を吸い上げるといったやり方が望ましいのではと感じています。――今後に向けた活動についてお聞かせ下さい。岡田:活動を開始して1年が経過しました。これからプロジェクトを作って職場の課題を改善していくD改善に取り組むべく準備を進めているところです。改善を進める意識は定着してきたのでこれを自分たちのものにしていきたいと思います。最終的には活動を自立して回していけるよう取り組んでいくつもりです。 余談になりますが、これから現場で働いてくれる人は次第に減っていきます。いわゆる「労働力人口の減少」と呼ばれる現象です。この地域はトヨタ自動車のお膝元にも関わらず、早くも人を集めるのに苦労する企業が出てきています。―― 活動での苦労した点などございましたらお聞かせ下さい。上野:リーダーを務めてくれている班長は全員、活動の意義や方向性に対してよく理解してくれていると思うのですが、メンバーの隅々までそれが伝わっているかと言う正直なところまだ自信が持てません。渡邊:そういった状況を打開するため、最近になって活動を軌道修正しました。コンサルタントと打ち合わせて班長だけでなくメンバーにも活動の内容と方向性を直に説明する時間を設けるようにしました。上野:実のところ班長の取り組み方にも濃淡がみられます。方向性や使命感には迷いはみられないものの班のメンバーに対する接し方は様々です。各人の個性もあるので仕方がない部分はありますが、班長全員が肩の力を抜いてチームを引っ張っていけるよう、活動に対する理解を深めてもらいたいと思います。――当初の目的である技能伝承についてはどのようにお感じですか。岡田:活動のやり方のところでも触れましたが現場は4直3交替勤務での活動なので班も4つ作り、勤務ごとの活動としました。それぞれの班が複数ある製造機器の改善をテーマとして活動しています。 勤務ごとの班編成ですからその機器を担当するオペレーターは他の班にも存在します。つまり班で検討した製造機器に関する改善案は他の班に属する当該機器のオペレーターにも伝達、一方でその意見を集約する必要があるのです。 この仕組みにはもう一つ特徴があります。他班のオペレーターに対してはオペレーター同士が直接やりとりせず所属する班の班長を通じて伝達や意見集約を行うというルールが設けられています。 つまり全員が一堂に会することができないという勤務体制から来る制約に加え、改善についてオペレーターに直接伝達せず、班長を通すというフィルターを作特集1 企業インタビュー CORPORATE INTERVIE特INTERVIEW新しい労働力を迎える時代になっても質の高い製品づくりを技能伝承は若手リーダーがベテランから吸い上げるほうがうまくいく三井化学東セロ株式会社 安城工場5 ASAP