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概要

ASAP_201806

特別寄稿職場改革にシニアの経験値を活かす! 終身雇用制度の崩壊から十数年、年金支給年齢の引き上げに伴い、定年年齢が引き上げられました。と同時に、後進に道を譲るため役職定年制が始まりました。そして、多くの場合、55歳を過ぎると役職を解かれ、給料も一般社員並みに下げられてしまうという現実が当たり前の事となって、はや20余年が過ぎようとしています。 若手社員は、企業の未来を支える立て役者ですが、シニア社員も、その若手のモデルとなり、希望とやる気を与え、企業精神を伝承し、時には若手を精神的に支え叱咤激励する役目を担うはずでした。ところが、若手の教育に力を入れても、シニア世代、特に役職定年者の教育に力を入れる企業は、いまだ希少です。 ここで、「ちょっと待てよ、シニア世代の教育?今さらシニア世代に教育が必要なの?」と思った方が多いのではないでしょうか? “人間は、生きている限り成長し続ける”のが常識となった昨今、シニア世代に対しても、新しい環境に適応するために成長し続ける事が要求されます。 そのために、企業が準備すべきシニア世代の成長の場づくりは、やはり会社人生の残り10余年、若手の鑑となり、もって会社に貢献してもらうための考え方、言動、スキルなどが修得できる教育の機会を設けることではないでしょうか。 それを「単なる理想論」と思われますか?少子高齢化による人口減少の波は、企業を含む社会全体の生産能力を低下させ、自治体によるソーシャルサービスも満足に受けられない時代が到来する気配を感じさせます。そうした変化に対応するために、個人はもちろん、企業も、社会も変わらねばならないところに来ています。そこでは、「単なる理想論」の方がより現実味を増してくるでしょう。そして、その環境に適応するための変化は、性的マイノリティの社会的認知のように、異質なもの同士が、互いの差異を受け入れ合うという小さな流れを発端として既に始まっているようです。ダイバーシティに取り組み始めている企業が増えているのもその良い例です。 さて、そのような変化の中で、隠された資源としてシニア世代の活用が注目されています。 十分な経験値を持つシニア世代は、人口ピラミッドでも最も厚い層になります(図1参照)。 私はストレスチェック後の組織分析をさせていただく事が多いのですが、どの業種にあっても、世代別に分析してみると、最も打たれ強いのもこの世代です。 20代30代は、上司や同僚からの支援が受けられにくい環境ではメンタルダウンを引き起こしやすい姿が見えてくるのですが、50代以上では、ぐっと足踏ん張って耐えている姿が垣間見えてきます。これもシニア世代の経験値のなせる業でしょう。 残念なのは、どの企業でも、この姿をモデルとしてほとんど利用できていないという事です。シニア世代野田 雅士シニア世代も教育の時代経験値は隠された資源いきいきシニアが会社を変える株式会社テクノ経営総合研究所 エキスパートコンサルタント図1. 2025年の人口ピラミッド17 ASAP