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概要

ASAP_201806

の方々の中にも、自分たちの役目はもう終わったと考えてしまう方が多いのも事実です。企業の人事制度が、シニア世代にそのように思わせてしまっているというのも事実としてあります。 また、シニア世代の側にも、企業の側にも、今の変化の諸相が見えていない、変化への対処スキルが備わっていない、具体的な方法論がわからないという事があるのも事実です。 そして、多くの場合、役職定年から60歳再雇用までは一般社員として当たらず触らずに過ごし、60歳再雇用後は、それが終了する65歳まで、自分の持てる力を発揮する事も成長させる事もなく、若手から煙たがられないようにと遠慮しながら時を過ごすようです。そういう環境の中で、シニア世代の力を活用と言っても無理な話です。 シニア世代の方々は、新しい環境への適応能力も身につけず、学ぶ場もなく、長年住み慣れた会社を去るのですが、その後、運よく新たな活躍が期待される場に立った時、その方の行動の基本は、自分が慣れ親しんだ企業社会での姿です。その時点で、自分に求められているのは新しい環境に適応した後のスキルの発揮であると気が付けた方は良いのですが、そうでない方は、昔取った杵柄だけを振り上げ、周囲の環境と不協和音を奏で、結果、自分の問題点に気づけないままに、そこを引っ掻き回しただけの状態で去っていきます。 新しい環境への意識づけができておらず、適応する能力が身についていないからです。そのノウハウを身につけられるのは、まさに55歳役職定年後からの企業人生においてなのです。 我々人類は、進化の過程で、何度も絶滅の危機に瀕してきましたが、そのたびに、個人ではなく集団の力で生き延びてきました。文明が発展した現代社会にあっても、生物種である以上は、互いの資源を頼りに利用し合うのが鉄則です。つまり、互いに成長し合える事を信じ、互いに成長する場を確保するという事です。 2002年のダニエル・カーネマン博士の受賞、2017年のリチャード・セイラー博士の受賞と、二度にわたってノーベル経済学賞が行動経済学に対して与えられているのは、世界の潮流としても、それが意識されている事の証です。 さて、現代社会において時代をリードし、新たな世界を作り上げる立役者は、一体誰でしょうか。それは、学者でも一部の富豪や政治家でも官僚でもなく、自らもまた生活者であり、人々の生活に変化をもたらす事で利潤を上げる志を持った企業とそこで働く人々です。その企業と企業人が、最も有効に使えるシニア世代と言う資源にほとんどアクセスできていないのは勿体ない限りではありませんか。 ある企業で、シニア世代の方にカウンセリングスキルを伝授する中で、驚くような変化を目にしています。まずは、シニア世代に成長のため、変化のための教育を行い、企業の中で、最後まで活き活きと仕事をしていただく素地を形成すべきではないでしょうか。 そのために何をすべきか、一緒に考えさせていただけたら幸いです。私なりに見聞きし、経験させていただいた事をお伝えできるかもしれません。そういう場で皆さんとお会いできる事を楽しみにしています。PROFILE株式会社テクノ経営総合研究所エキスパートコンサルタント野の田だ 雅まさ士し関西学院大学文学部心理学科卒業、大手~中小製造業、銀行、商工会議所など幅広い業種や分野で活躍中。ヒューマンポテンシャルを引き出す実践指導で好評を博している。産業カウンセラー、日本心理学会認定心理士、厚生労働省中央労働災害防止協会心理相談員、日本心理学会、日本産業カウンセラー協会、日本健康心理学会、日本ストレスマネジメント学会等に所属。著書は『「怒り」に寄り添うエクササイズ』(経法ビジネス新書)等。 現場で働く従業員の側をより良く変化させて企業を活性する事を目的として、打たれ強さや個人の「強み」発見を基本に、新人、マネージャー、シニア各層の強化研修、個別コーチング、カウンセリング、ストレスチェック後の統計分析など幅広く対応。ご希望の方には、2017 年度のストレスチェック総合分析報告資料を差し上げます。知恵を語り継ぐことの大切さASAP 18