ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

ASAP_201811

 まず冒頭に本取材にご協力いただいた、株式会社山本海苔店 専務取締役 山本 貴大氏を始めとした関係者の皆様に心からお礼を申し上げたい。今回取材でお伺いした佐賀工場は、白と黒のコントラストと赤の「まるうめマーク」が印象的なモダンな外観で、山本海苔店のブランド感と江戸の粋を感じる非常に美しい工場であった。今回の取材を通じて感じたことは、山本海苔店の海苔に対する取材後記 元々銀行マンだった山本氏が入社して初めて配属された仕入部で衝撃を受けたことが、仕入部の責任者の「山本海苔店がこんな安い価格で仕入れていては海苔業界の未来はない」という発言であったという。安く海苔を仕入れることを良しとしない仕入部の責任者の言葉を聞いた時、山本海苔店は業界のリーディング企業として本当に海苔業界全体のことを考えているのだと思い、これが山本海苔店の企業文化であり企業風土なのだと感じたとのこと。また山本氏によると「海苔は早く摘めば、摘むほど、味も香りも良くなる。おいしい海苔にするため、山本海苔店では生産者にできるだけ、早く海苔を摘んでもらうように依頼しているが、贈答用市場が縮小していくと、生産者が業務用の海苔にシフトしていくようになってしまう。これは『おいしい海苔文化』の危機であり、この文化を大切に守っていくことも山本海苔店の使命だと考えていて、そのため今新たにいくつかのプロジェクトを立ち上げて本社で企画を進めている。 その一つが本店のある日本橋の再開発にからんだプロジェクト。おいしい海苔を一番おいしく食べるのは手巻きではないかという発想から、日本橋の本店で新業態として手巻き寿司専門店の出店を模索している。また当社は海苔は焼きたてが一番おいしいということにこだわっていて、現在も百貨店の数店舗でその場で焼きたての海苔を提供しているが、それのもっと本格的なものを日本橋でやってみたいと構想している。いずれにしても海苔の本当のおいしさ、海苔文化を伝えていくような取組みを進めていきたい」とのことであった。また佐賀工場のビジョンとしては「最大のテーマは山本海苔店として絶対譲れない品質の商品をより多くの取引先に提供していくこと。現在は原価的に適切な取引条件で何処とでも取引できるという状況ではないので、今後は品質を落とすことなく、取引先を拡大できるような製品づくりを進めていきたいと考えている」とのことであった。 創業以来160余年、「海苔ひとすじ」を守り続けて来た老舗企業の未来に向けた挑戦は佐賀工場でスタートしたばかり。日本の海苔文化に新たな価値を生み出す山本海苔店の改革への歩みは今後も続いていく。山本海苔店 日本橋本店外観今後のビジョン1株式会社山本海苔店・佐賀工場5 ASAP