ブックタイトルASAP2018vol_2
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ASAP2018vol_2
企業価値を高める改善への扉―― 活動を始められた経緯についてお伺いします。山本:当時、私は製造本部長を担当しており、社内の改革をどうすすめるべきかを考えていました。各工場やグループ会社でも大きく売上を伸ばして良い会社になりたいという願いで模索を続けていた時期でした。 そんな折、テクノ経営総合研究所から工場診断の話を聞き、2014年8月に受診したのがコンサルティングを導入して活動を開始したきっかけです。 工場内の改善については、最低でも平均値には達しているだろうと、それなりの自負を持って臨んだ工場診断でしたが、その結果はなんと予想外のマイナス10点。コンサルタントからは「ぜんぜんなっていません」という厳しいジャッジが下されました。 しかし、私が注目したのは工場診断の報告書のなかにあった「改善により生産性を大きく上げることができます」という一文です。この職場を半分の面積と半分の人員で、今までと同じような生産量を上げることが可能だというのです。 作業分析で動線を改善し、人や伝票の動きを改善して行けば半分の面積と人数でできるという説明でしたが、その時はそんなこと無理だろうと内心では思っていました。 ただ、一番気に入ったのはテクノ経営の「人を育てる」という考え方です。生産性向上を前面に打ち出し、何億、何千万の経費削減を謳い文句にしているコンサルティング会社も多いなか、人材育成に重きを置く考え方は「いいなぁ」と思いました。 まずはコンサルタントに入ってもらって、動き方や考え方の悪い所を修正する。そこから業績向上のパターンをつかめるように改善して行きたいと考え、コンサルティングの導入を決定しました。―― 初年度の活動はどのように開始されましたか。山本:千葉工場の改善活動は、2015年4月からスタートしました。その当時、私はプロジェクトリーダーとして活動の推進を見守っていたのですが、そのスタートは決して順風満帆というわけではありませんでした。 いまになって振り返ると、千葉工場から始めて、熊本工場、新潟工場に水平展開、海外工場にも展開するまで順調に進んできたことが不思議な感じです。 コンサルティングの導入が初めてということもあり、現場からの反発が生半可ではなかったのです。当社40年の社歴のなかで、創業時に入社して定年近い方も大勢います。彼らには若い人とは異なる独自の考え方があるのは否めません。「今までのやり方をなぜ変えるのか」という思いはなかなか払拭できないものです。―― 人の意識を変えることは難しいものです。山本:春から始まった改善活動ですが、コンサルティングに対する現場の抵抗感が強く、なかなか思うように進みません。そこで8月から新たに入社した土方をメンバーに加えて、率先して活動をリードしてもらうことになりました。豊富な実務経験をもとに、千葉工場の改善活動がまだよちよち歩きにも満たないところから、現在のレベルまで組織を盛り立てくれた功績はとても大きいと感じています。土方:当時は現場がコンサルティングというものに慣れておらず、はじめてのことなので抵抗感があったようです。山本が話したように、さまざまな問題があって、どうやっていいのかよくわからない状態のなかで、新しいことをやろうとすると抵抗する傾向がありました。社歴の長い方々の抵抗にどう対処するか、そこが一番の課題であり、私自身も非常に苦労したところです。―― そうした現場の抵抗にどう対処されたのでしょうか。土方:簡単に言えば「コンサルタントの言葉は神の声だから絶対にやりなさい」というルールにしました。 抵抗しようが何をしようが、「コンサルタントの言ったことは絶対なのだからとにかくやりなさい」ということにして、何かと理由をつけてやらないことをまず実行させる。最初の半年くらいはそんな感じでした。最初は現場の抵抗から始まったASAP 2