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概要

ASAP2018vol_3

特集3「いきさつ(経緯)分析」品質問題解決新手法 クレームの語源は「大声で叫ぶ」であり、所有者が受けた損害を公衆に訴え、賠償を請求する権利の主張を表しています。特に品質クレームは製造業にとって頭の痛い問題です。ブランドイメージや受注などの企業業績に悪影響を与えるだけでなく、社内の意識を低下させる要因にもなるからです。 ただ、クレームはユーザーからの企業に対する期待であると受け止めることもできます。期待がなければクレームを出す気も起きず、期待に応えなければ、企業の明日はありません。クレームはお客様から頂いた最大の「体質改善の機会」と考えるべきではないでしょうか。 少子高齢化で人手不足が続く中、製造現場では派遣社員や外国人労働者などの非正規雇用者の割合が増加しています。それにより現場では、管理・監督力の低下とともに品質保証レベルや安全・安心の確保にどう取り組むかが重要視されています。働く人の意識や感性により、ものごとを理解するレベルは異なります。もはや「決められた作業要領と手順を守っているから大丈夫」という捉え方では、品質クレームを防止することはできません。言葉だけでは表現できない曖昧な部分をいかに伝え、クレーム防止につなげるか、その問題解決の方法論がいま切実に求められています。 各企業では品質問題の防止策を設けています。ところが実際のところ大変多くの課題を抱える事例が見られます。それらを集約すると次のようなケースになります。?再発防止のアクションが打たれていない 品質クレームに対する認識が弱く、対策すべき状況が見過ごされており、再発が避けられない状態。?立案した対策が実施されない 対策立案の意図が不明瞭であり、実現不可能な対策を定めているケース。口頭での連絡に終始しており、具体的なアクションプランがない。?実施した対策が機能していない あまり努力を要しない対策レベルに留まっている。対策(手段)が自己目的化しており、実施後の評価等のフォローアップが不充分である。?本当の原因をつかめていない 三現主義(現場・現物・現状)を意識できておらず、実態把握に漏れがある。品質問題解決に関する考え方や科学的な方法論が確立していない中で、各担当が苦心している。1 品質問題の背景 2 現状の再発防止策の課題マネジメントコンサルタント 相澤 淳一13 ASAP