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概要

ASAP2018vol_3

 人は判断ミスを犯しやすい存在です。事故の原因としてヒューマンエラーが指摘されるように、人の認知構造のしくみには勘違いや思い込みを引き起こす特性が潜んでいます。 また、組織の中で働いていると、他人まかせになっていることがよくあります。たとえば「最近、クレームが出たようだが、品質管理部門が対応するだろう」などと考えてしまう。この根底には「できるならば面倒な仕事はやりたくない」という逃げの意識が作用しています。 生産の4 M( M a n : 人、M a c h i n e : 設備、Material:原材料、Method:作業方法 )において、その主体は作業者である「人」です。いつかは故障する機械、正しい保管方法が必要な原材料、作業マニュアルの優劣は生産性や製造品質にも影響します。これらの要素には各々が抱える課題があり、ヒューマンエラーとの関連も深くなっています。 現場における作業者についても、その意識レベルは時々刻々と変化しています(図1)。長時間の疲労により集中力は低下し、作業の慣れは注意力の欠如を引き起こします。その意識レベルにより、勘違いや錯覚、モノ忘れなどが日常的に発生しているのが実情です。錯視図形で確認できるように、思い込みにより私たちの脳は容易に騙されてしまいます。つまりヒューマンエラーは避けられない人間の特性であり、品質問題防止とも密接な関係を持つテーマです。 問題解決のため、幾多の科学的な方法論が語られてきました。たとえばリスク管理の考え方を示すものとして「スイスチーズモデル」があります。チーズには多くの穴が開いているのですが、互いに穴の位置が異なる複数のチーズを重ねることで貫通する可能性を低くできます。ミス防止の確認作業も一人ではなく、複数の眼でチェックすれば飛躍的に精度が高まります。それぞれの異なる視点で見逃しを防止できるからです。図1:人間の特性3 ヒューマンエラーと品質問題4 問題解決手法についてASAP 14