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概要

ASAP2019vol_2

 マテハンは合理化のフロンティア 自動化はマテハンを考慮して進めるべきと先述しました。モノづくりでは出来るだけモノを動かさなければ効率的ですが、現実はそうはいきません。工程と工程の間の運搬、工程の中でモノだけが動いている(ローラーなどで自走している)状態、あるいは作業者が直接モノを動かしている(取り付け取り外し等)状態などがあります。 このマテハンが生産のリードタイムに占める割合には驚かされます。一般的な企業で6割から7割も占めるからです。このマテハンに着眼し、改善することで工場の生産性を上げることが可能です。 先日、ある自動車部品メーカーでワークサンプリングを実施したところ、価値作業の比率が28%、準ムダ作業が56%、ムダ作業が16%という結果になりました。ムダ作業の比率が準ムダ作業のそれを下回るのは、お客様に鍛えられている業界ならではかもしれません。そして、準ムダ作業、ムダ作業の中味を分析すると、準備作業、積み替え作業、手運搬や台車運搬、フォークリフト運搬などの運搬作業、運搬の合い間にある空歩行といったマテハンが26%も占めていました。このマテハンを10%でも改善して価値作業にすれば、この企業は1.3倍の生産性を上げることが出来ます。 バトンとバトンゾーン 改革・改善活動において、目に見える作業のムダに気づくことは比較的容易です。しかし、工程間在庫の膨張によるマテハンの増加といったムダは、仕事の進め方の悪さに起因するものであり、なかなか発見しづらいものです。私はこうしたムダを「しくみのムダ」と呼んでいます。 企業や工場は多くの部門、工程を情報やモノといった「バトン」が渡っていき、仕事が成り立っています。最終的にお客様からお金をいただくまで、さまざまな ムダ作業を価値作業へと転換する VPM(Value Producing Management)では、人の作業を価値作業、準ムダ作業、ムダ作業、に3分類しています。そして、改革・改善活動では、準ムダ作業を減らし、ムダ作業を無くし、価値作業の割合を高めることで生産性向上を図ります。 機械操作や溶接作業といった価値作業は楽に早く正確にできるようにする。今の作業条件化ではやらざるを得ない検査や運搬などの準ムダ作業は出来るだけ減らしていく。さらに、手待ちや打ち合わせといった何ら付加価値に繋がらないムダ作業は無くしていく。少ない人員で利益を創出するには、この価値作業比率を高めるしかありません。図3:人の作業の3分類2 ムダを徹底的に排除無くす増やす減らす人の作業ムダ作業準ムダ作業価値作業・手待ち・空歩行・打ち合せ 等・記録・検査・確認・運搬 等・設備操作・溶接・加工 等■ 価値作業の比率を上げる ことで生産性を上げるムダ作業を無くし価値作業へと転換15