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概要

ASAP2019vol_2

 目指す姿を共有し、課題解決に向けて行動する ヒト・モノ不足という環境変化に対応するために組織のパフォーマンスを上げなければならない。そのためには管理職のマネジメント力をより強化することが求められます。 ある企業で部課長職のマネジメント力を強化するために、自分の組織の3~5年後の目指す姿を描いて貰っています。この姿を描くためには現状をしっかりと把握していなければならず、かつ上位の方針を十分に理解し、自らの組織の機能を明確にしておかねばなりません。部課長が目指す姿を示せなければ、部下には未来が描けず、パフォーマンスも上がりません。そして、目指す姿が鮮明になれば、それを達成するための障害要因(課題)が見えてきます。 一方、自らの組織の当たり前の水準を高めることも重要です。正常な状態(決め事が決まっている状態)3 管理職のマネジメント力を強化するが無ければ異常は見えず、問題解決の行動が取られません。まず、決め事を決め、それを守る/守らせる、決め事が守られているか確認する、その上で決め事を改善するという日常管理のサイクルをしっかりと回していくことがマネジメントの基本となります。 おわりに 以上、ヒト・モノ不足に対応するための現状打破の3つの課題について述べてきました。 日々発生する問題の対処に追われ、改革・改善活動を行う間も無いという言葉を耳にすることが数多くありますが、日々の行動を「考働」に変えるだけで上記、3つの課題の解決に繋がっていきます。何よりもまずやってみようという姿勢で取り組んでいただければ幸いです。人の手をバトンが渡っていきます。社内で上手く「バトンリレー」が出来ているか、しくみのしっかりとしている企業では、部門や工程間(バトンゾーン)でリズム良くスピードを落とさずにバトン渡しが出来ています。皆さんの会社ではバトンゾーンで上手く「バトンリレー」が出来ているでしょうか。 バトンゾーンの中で、渡し手は受け手のことを考えてバトンを差し出し、受け手は渡し手が渡し易いように手を差し出す、前後の部門、工程がいかに協働体制を築いてパフォーマンスを高めるか、これが「しくみのムダ」を改善するポイントとなります。 改善効果を経営成果へと確実に転換する ここまでムダを徹底的に排除することについて述べてきましたが、ムダを排除して生まれた改善効果を経営成果へと確実に転換することが重要であることは言うまでもありません。そして、テクノ経営では成果をしっかりと刈り取ることを大事にしています。 たとえば、QCサークル活動や5S活動で「歩行を3歩減らした」、「1個当たりの生産時間を0.5秒短縮した」という発表があります。それを金額換算して月1万円の改善効果が生まれたと言っても、実際に会社の金庫に現金が入る訳ではありません。勿論、こうした改善を否定する訳ではありませんが、我々が取り組むべきは、改善で生まれた効果を経営成果へと変えることです。 そのため、VPMには「負荷投入バランス調整」というしくみがあります。これは負荷(仕事量)に合わせて工数を掛けるもしくは保有工数に合わせて負荷を調整する、ということです。当然ながら改善を行えば工数が下がることになりますが、工数が下がった分だけ仕事量を増やすか、人を出すか、コントロールを行います。そして、空いた工数が発生した場合に備え、事前にどうコントロールするかを先に考えておくことが重要です。ただ「改善せよ」と言うだけでなく、生産性が130%に上がったらどれだけ工数が空くか、それをどう活用するかを考えておかねばなりません。16