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概要

ASAP2019vol_3

 原因3 「 慢性的な戦力不足」 働く人の資質が変わってきています。平成29年の厚生労働省の調査によると、製造業における新卒高校生の入社3年後の離職率は約3割(大卒社員は2割)となっています。離職率が高い組織の特徴としては、残業が多い、給料が労働に見合っていないと感じる、人手不足などが挙げられ、逆に離職率が低い組織の特徴としては、働き方に柔軟性がある、休暇が取得しやすい、社員教育が充実している、若手が意見を出しやすい雰囲気などが挙げられます。現在の若手社員に対して、「今までの価値観が通用しない」「せっかく採用してもすぐに辞めてしまう」などと非難、批判ばかりしていても何も状況は変わりません。若手が辞めていく会社は、何故辞めてしまうのか、その原因を本気で考えないと慢性的な戦力不足は解決しません。人財育成は未来への投資であり、会社の本気度が問われます。若手社員が辞めていくのは、上司、管理者である自分達の責任で、会社の恥だという考え方へのマインドセットが必要です。その上でやはり重要なことは組織内のコミュニケーションであり、双方向の意志疎通が正しくできていることが基本です。コミュニケーション能力に関する3つのスキルとは「きく力」「かかわる力」「表現する力」ですが、中でも特に重要なのが「きく力」であり、より良いコミュニケーションの実現には受容的、共感的な態度で聴く「傾聴」が効果的です。 こんな経験はないでしょうか?部下に業務依頼をした際、わかりました、大丈夫ですと返事があったのに、実際にやらせてみると依頼した内容とまったく違うことをしている。やってから質問に来る、もう一度確認すると初めてわかりませんという等々… 上司からすると部下がいったい何を考えているのかわからない。何故説明しても伝わらないのか?実はこういったケースの大半が「解らないことが解らない」という状況なのです。若手社員の考え方の理解に苦労しているにも関わらず、接し方が変わっていないのではないでしょうか?言葉だけでなく、声の調子や表情、目線までも含めて確認していますか?部下が見ている視点と、上司が考えている視点は実は大きく違う可能性があることを認識し、若手とのコミュニケーションは思っている以上に視点を下げる必要があることを意識して欲しいと思います。 おわりに 以上、組織コミュニケーションの視点から、人手不足時代を生き抜くための変化の方向性について、部門間連携を阻害する「3つの他」の原因を中心に検証してきました。社会、時代の変化に伴って、企業やそこで働く人の思考、行動も変わっていきます。コミュニケーションはその変化を柔軟に受け止めたり、新しい発想に導く力を持っています。 従来の視点や価値観にとらわれず、今の新しい考え方に向き合って、自分達自身が変わっていくんだという前向きな姿勢で取組んでいただければと思います。心がかわれば   態度が変わる  態度が変われば  行動が変わる行動が変われば  言葉が変わる  言葉が変われば  人格が変わる人格が変われば  運命が変わる  運命が変われば  人生が変わる参 考 ヒンズー教の教え「変化を起こすにはまず考えから」16