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概要

ASAP2019vol_4

 製造技術部長の藤林 照己氏によると、同社の設計部門では初めてのコンサルティング導入であったため、当初ほとんどの社員がコンサルティングで、どのようなことをするのか、イメージを持てていない状況だったという。藤林氏 スタート時に何名かの社員にヒアリングしてみたところ、ほぼ全員が、どんなことをして、どのように変わるのか、全くイメージ出来ないという意見でした。絵にかいた餅じゃないの?本当に出来るの?という半信半疑のところは全員の共通した思いだったように思います。それまで自分達で改善や改良をしていこうという目標は立てても、結局頓挫してしまうというような経験をしていたこと04 コンサルティングスタート時の社員の反応から、コンサルティングを受けて本当に状況が変わるのかというのが、自分を含めた、部員の考え方だったように思います。ただ改善活動を全員参加の少人数のチームで進める中、それぞれが積極的に参加しなければならないという気持ちが芽生えてきて、とりあえずやってみようかというところからスタートして、それが効率よくやれるようになったとか、プロジェクトの活動だけではなく、同じような考え方を持てば、日常業務の改善でも今まで思っていて出来なかったことが出来るようになってきたとか、そういう小さな成功体験を積み重ねて行くことで、全員の意識が変わっていったように感じます。 「負のスパイラル」からの脱却策の検討を美野輪氏が進める中、工場に届く多くのセミナー案内の内、「最強の設計部門が利益を作る」というテクノ経営のセミナータイトルが氏の目に留まり、そのセミナーに打開策のヒントを求めて、技術部のメンバーと共に参加することになった。美野輪氏 設計部門のコンサルティングというのはあまり聞いたことがなく、自分自身も今まで設計は、外部から教えてもらうというものではないと考えていたところがありました。ところがセミナーで聞いた事例の改革前の姿がまさしく当時の状況で、当社の悩みと一致していたのです。セミナーでこのように、事例として取上げられるということは、自分達と同じような悩みを持っている会社は、03 設計部門変革に向けたコンサルティングの導入他にもたくさんあるように感じられ、まだまだ何とか立ち直る術はあるのかなと希望を持つことができました。 美野輪氏はこのセミナーで、コンサルティング導入の検討を進めることを決断し、すぐに工場診断を受けることになった。また同社の小宮社長も当時の技術部門の状況には、非常に危機感を持たれており、何とか立て直さなければならないという意識は共通していため、タイミングとしてはちょうど良かったという。工場診断の結果は、基本的には美野輪氏が予想されていた通りだったが、その改善に向けた取組みを一気に進めるのではなく、ステップを踏んで段階的に進めて行くという提案に大変共感を覚えられ、テクノ経営によるコンサルティングの導入が決定した。求に対してある部分を付加したり、変更したりという作業が主です。それが経験や知識に基づいて積み上げていく設計になっていれば良いのですが、当時の技術部はベテラン社員が少ない状態で、経験の浅い若手社員は、既存の類似製品と思われる図面を編集して出図せざる得ない状況となっていました。設計者自身が良く理解した上で図面を作成していないため、ある部分は直したが、こちらは直し忘れていたというような図面が工場に行き、現場でアッセンブリ出来ないため、部分修正が必要となり、設計者が工場に出向くということが頻繁に発生し、いくら時間があっても足りないような状況になっていました。そのような状況では設計担当者自身の成長も望めるはずもなく、まさしく負のスパイラルに陥っていました。 人材の問題と新システムの導入が相乗的な要因となり発生したこの危機的状況から、いったいどうしたら抜けることが出来るのか?ゆっくりではなく、急激に悪い状況となったため、ある種のパニック状態が技術部内に発生していた。技術本部 技術顧問美野輪 健一氏9