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概要

ASAP2019vol_4

ていったという歴史があります。モジュールデザインは自動車メーカーだけのものではなく、製品設計を行っているメーカーのアーキテクチャーのパラダイムシフトと言われており、個別受注型メーカーも含めて全ての製品開発に適用できます。実際に取組みを進めている自動車メーカーではモジュール化によって投資・コスト及びR&Dへの投資が2割~3割減らすことができたという報告もあります。 2000年に入ってCADの性能が飛躍的に向上し、ハイエンドCADという高価なものを使えば、ベテラン設計者が行っている作業を自動設計で取込めるようになりました。設計作業の6、7割を占めるルーティン作業を機械にやらせるイメージで、それにより出来た時間で設計者にはもっと創造的な仕事をしてもらうことが狙いです。またCAE変遷の流れとしては、設計が2次元から3次元に変わることで、それまでのトラブルシューティング型解析から、バーチャルシミュレーションへの進化により、出図前に品質をシミュレーションできるようになりました。これを活用した設計者CAEが最近のトレンドで、3次元CADの中にCAEを組み込むと、設計者がパラメータを指定することで、性能、コスト、重量情報などが全部出てくるため、設計者自らがCADで設計しながら、どういう構造的な特性になっているかというのを、リアルタイムで見ながら、最適な仕様の検討を行うことができます。すでにそういう最先端の取組みを進めている自動車メーカーもあります。ただここでの注意点は、3次元CADの導入だけでは、効果は非常に限定的だということです。フロントローディング、コンカレントと言ったプロセス改革を同時に組み合わせることではじめて効果が出て来ます。経営者の方は色んな基盤システムの導入を検討されていると思いますが、システムはツールであり、その先の達成したい目的が明確でないままにシステム導入自身が目的となっている場合は、確実に失敗するということをお伝えしたいと思います。 昔の日本の製造業の人材育成はOJTがメインで、先輩の背中を見て育つということが普通でした。ところが自分が自動車の設計をしていた頃に経験したことですが、アメリカの自動車メーカーと一緒に仕事をした際、アメリカの会社では設計者が途中で交代することがあっても、マニュアルが完全で設計の標準化が確立しているため、業務の引継ぎに何の問題も起こらないということに驚いたことがありました。「IDEF0」というアメリカの国防総省が開発したシステム化の標準技法は、欧米系ITベンダーでは当たり前にプログラム開発の為の業務プロセスの見える化に活用されていますが、その手法をOJTが崩壊した日本の製造業の設計現場に技術継承・人材育成の観点でプロジェクト導入しています。例えば自動車のドア設計は非常に限られた人間しかできませんが、その設計のノウハウ、暗黙知をこのIDEF0で書き出して、それをITベンダーのCADオペレーター(設計素人)が自動設計を実装できるという実績があります。IDEF0を設計手順として、その中に設計基準などをリンクで貼り付けておくことで、設計手順書をベースとした技術継承が可能となります。 以上、設計開発力診断の評価における4つの視点についてご紹介してきましたが、設計開発力診断の際に、お客様より「最強の設計部門」の定義についてのご質問をいただくことがよく有ります。私の定義としては、ベテラン設計者のモチベーションが高い状態にあること。これがまず一つ目のキーポイントです。そしてもう一つは若手設計者の戦力化です。設計者自らが学んで、自らのスキルを上げていくような組織になればモチベーションは確実に上がって行き、部門全体は底上げされます。そのような状態が実現できれば最強の設計部門となるはずで、そのための第一歩として、ぜひ設計開発力診断の受診をお勧めしたいと思います。設計プロセスの見える化(IDEF0 の事例)マニュアル記述方針保守エンジニアテクニカルライターマニュアル設定データ顧客の使用環境仕様書IDEFOの基本的な表記法制御機構入力出力マニュアル作成パラメータ決定機能Node : Title : Number :AOF誤作動の検知されたあるいは疑いのある項目サービス中の資産資産としての予備交換される予備品修理可能な資産置き換えられた資産状態記録修理前の資産修理後の資産資産化される予備品修理可能予備品を管理するPG 4-5検査または修理する完成した資産部品待ちの資産監視し道筋をつけるショップでスケジュールする撤去し交換する11010201A1A2A3A412IDEF04 人材育成・技術継承3 I Tシステムの活用16