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概要

ASAP2019vol_4

 ミツヤ送風機の創業は1920年。来年2020年には100周年という企業としての大きな節目を迎える。当初は東京都江東区でプレス板金工場としてスタートしたが、戦時中、軍需業務に従事し、経営規模を拡大する中、皇居の防空壕で使用されていた海外製の送風機の修理を依頼されたことがきっかけで、当時の経営者が送風機の製造に興味を持ち、大学の専門家などの協力を得ながら、板金プレスの技術を活用して空調用送風機を作り始めたことが、送風機専業メーカーとしての同社の事業の礎となった。当時の送風機需要は、鉱山用、発01 送風機専業メーカーとして積み重ねて来た100年の歴史電用、製鉄用など大型のものが中心だったが、戦後日本の高度経済成長による各種工場、ビルの建設に伴い、低圧の換気ファンなどのスタンダードな送風機への需要が急増し、送風機市場への参入企業も増加した。同社も19 5 4 年に「ミツヤ送風機製作所」を設立し、この送風機需要拡大の波に乗ることで、大きな成長を果たすことが出来たが、特に自動車メーカーの塗装技術部門から、安全性・信頼性・性能・機能の要請を受けて開発した「可変翼軸流送風機」は、変動する負荷に対し、高効率を維持しながら対応できる性能が評価され、多数の納AC T I V I T YR E P O RT活動レポートミツヤ送風機株式会社 製造業において設計部門は事業活動の推進エンジンであり、事業活動の品質、コスト、納期の大半は設計で決まるといっても過言ではなく、実際製造の問題、調達の問題をたどっていくと設計に起因する問題が数多く発生していることがわかる。経営者も企業の成長に、設計品質の向上や、開発プロセスの短期化などの取組みが必要なことは十分理解しているはずだが、設計部門を対象にした改革は、効果創出に時間がかかり、かつ費用対効果が見えにくいため二の足を踏む企業が多いように思われる。また製造部門の改革にはベンチマークとなる多種多様な事例があり、自社の改革に向けたロードマップを描きやすいが、設計部門の改革は公開されている事例も少なく、何から着手すべきかわからないため、必要性は認識しているものの、先送りになっているケースも多いのではないだろうか? このような設計部門の改革において、「標準化」というテーマを掲げ、現在その取組みを推進しているのが、今回の活動レポートの主役であるミツヤ送風機株式会社(以降ミツヤ送風機)だ。設計標準化は、設計を高度化する上で避けて通れないテーマだが、多くの企業がその必要性を認識しているにも関わらず、なかなか活動が定着しないテーマと言われている。ミツヤ送風機の設計部門である技術部でも、これまで自分達で何とか時間を作って、標準化に向けた取組みを試みてはきたが、定着には至らない状況があった。多忙を極める設計部門において、全員のナレッジを蓄積し、設計高度化を実現させていくため、いかにして設計の標準化を進めるのか?関係者へのインタビューを基に、ミツヤ送風機の取組みを、設計部門変革のケーススタディとして紹介する。「百花繚乱プロジェクト」~「標準化」で世界一の高品質・高効率設計への変革7