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概要

ASAP2019vol_4

 今回、ミツヤ送風機の設計部門変革の舞台となった那須工場は、1960 年に黒磯町(現在の那須塩原市)の工場誘致第一号として、工場用地の払い下げを受けて開設。現在は東京ドーム3個分、142,000㎡(43,000坪)という広大な敷地面積の中に、工場、事務管理技術センターという生産機能を集約し、同社のマザー工場としての役割を担っている。また来年2020年には開設から60年となることから、地域との関係性も深いという。現在、那須工場で勤務する従業員は140 名。栃木県の県北は人口も少なく、基本的には人手不足の状況だが、同社は60 年の歴史から、親子孫3世代に渡って勤務する社員もいるなど、経済的インパクトの面からも地域での存在感が強いことから、人材確保においても比較的恵まれた状況にある。このような那須工場において、送風機の設計を担当する技術部には23 名が所属している。今回のコンサルティングがスタートとした2018 年は、同02 設計部門における課題「負のスパイラルからの脱却」社の中期経営計画のスタート年で、3年間で売上1.5 倍を目標として設定するなど、会社としての業績は伸びていたが、技術部としては非常に苦しい状況にあったという。当時、執行役員 技術本部長としてプロジェクトの統括責任者であった美野輪 健一氏(現技術顧問)によると、一つの大きな誤算から、技術部の状況が急激に悪化し、「負のスパイラル」に陥っていたという。美野輪氏 数年前、設計のベースがないところで、見切り発車的に行ってしまった生産管理の基幹システム導入が、当時の設計部門における様々な要因と重なり、結果的に最悪の状況を生み出していました。具体的には設計部門全体が、システムの導入によって発生した煩雑な入力業務に日々追われる中、人材面では少数のベテラン社員と多数の中途を含む若手社員という2極化が進み、中間層が薄いため、技術伝承も上手く行っていませんでした。送風機の設計の基本はある程度決まっていて、お客様からの要2013年度「資源エネルギー庁長官賞」「エコファンシリーズ」 2018年度「省エネルギーセンター会長賞」入実績を残すことになった。また近年では、地球温暖化、省エネ要求による送風機効率アップ及び駆動機・電動部品・運転システムとの最適化を含むトータル消費電力が送風機のキーワードとなっていて、同社が2007年に販売を開始した「エコファンシリーズ」は2013 年度、2018 年度の省エネ大賞において、それぞれ「資源エネルギー庁長官賞」、「省エネルギーセンター会長賞」を受賞するなど、その環境性能に高い評価を得ている。那須事業所外観8