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概要

ASAP2020vol_1

アール・ビー・コントロールズ株式会社 製造業におけるフロントローディング、コンカレントエンジニアリングなどによる、製品開発プロセス変革の取組みに対する注目度が向上している。製品開発の上流工程にリソースを投入することで、コスト、品質を作りこみ、下流工程での手戻りや出図後の図面変更、試作、評価試験などを減少させ、開発コストや開発リードタイムの大幅な削減を図ることがその狙いだ。一方で初期段階において他部門を巻き込み、何度もの見直しと、再設計を行う時間と手間がかかるので、設計担当者の仕事量が増加し、負荷が高まる側面がある。そのためこれらの取組みには現場のボトムアップだけではなく、経営トップによる全体最適の視点での調整も必要になると言われている。このようなフロントローディング、コンカレントエンジニアリングの取組みを中心として、開発・設計部門の業務構造改革を推進しているのが、今回の活動レポートの主役、総合熱エネルギー機器メーカー「リンナイ」の子会社「アール・ビー・コントロールズ株式会社」だ。製造業を取巻く外部環境要因「顧客ニーズの多様化」「市場のグローバル化進展」などの影響は、マスカスタマイゼーションによるものづくりを促進し、短納期かつ品質向上への要求を今後さらに強めていくことが予測される。このような状況下、上流工程での製品開発プロセス改革の取組みは、短期的、局所的な負荷は高まるものの、中長期的、大局的な企業価値向上につながるため、企業の持続可能性という観点から、今製造業が取組むべき重要なテーマと思われる。利害関係の異なる各部門の理解と協力を得ながら、開発・設計部門を中心とした企業変革への取組みを如何にして進めていくのか?関係者へのインタビュー、中間報告会のレポートを元に同社の取組みを製品開発プロセス改革のケーススタディとして紹介する。開発・設計部門における製品開発プロセス改革「SK2040 作戦」 アール・ビー・コントロールズの設立は1971年、2021年1月には記念すべき設立50周年を迎える。リンナイグループの一員である同社だが、リンナイの前会長が将来的な熱エネルギー機器の電子化を予測する中、それに向けた様々な電子制御技術を備えておく必要があるという先進的な考えを持っておられたことから、大学の研究者などの人脈の関係もあり、金沢で設立されたことが同社の起源であるという。同社はガス石油機器用電子点火装置(イグナイター)の製造を行う会社としてスタートしたが、ガス機器の電子化が進むことより、点火するだけの電子制御ユニットから、ガスを燃焼制御する電子制御ユニットへ、さらにマイコン搭載の電子制御ユニットへというように、業界に先駆けてガス機器の電子制御技術を進化させてきた。また設立時から磨いてきた高電圧の技術力による点火装置は国内生産No.1を誇っており、その高電圧技術を他分野にも応用している。近01 熱エネルギー機器用の電子制御技術を事業の中核に成長AC T I V I T YR E P O R T活 動 レ ポ ー ト9